エルダー2020年2月号
30/68

2020.228ないでしょうから、やはり個別の対応においてご苦労もあると思います。いかがですか。立花 当社では、56歳年度末で役職定年となる制度を運用しています。53歳や54歳で役職定年により担当者になる社員もいます。一方で、マネジメント能力のある社員や管理職として適性がある社員には、引き続きマネージャーを続けてもらうこともあります。今野 役職以外の人はどうなっていますか。立花 基本的に同じ職場でその仕事を続けます。今野 同じ職場でも、むずかしい仕事から定型的な業務までいろいろあると思いますが、どういう割り振りをしていくのですか。そこは、各職場ごとに対応する、ということでしょうか。立花 そうですね。各職場のマネジメントのなかで、本人の希望を確認し、職場の事情も加味して決めていきます。今野 職場のマネージャーが個別に対応をしていくしかない、ということでしょうか。そのとき、どのような仕事をするかによって給料が変わる可能性があるとすると、再雇用者にしてみれば、真剣になりますね。そうしたことも含めて、職場で調整するということになると、マネージャーはたいへんですね。立花 はい、これからはそういう時代なのだと思います。多様な一人ひとりにきちんと対応していくことが、マネージャーの大切な仕事になっていくのではないでしょうか。やりたい仕事に手をあげていく社内公募制度には将来性がある今野 立花さんの会社の社内公募制は、社内で「こういう業務があります」、「こういう人を求めています」という求人情報を出すわけですよね。そこに、再雇用者が求職者として、手をあげて、マッチングする。規模がそんなに大きくない事業所でも導入可能な取組みです。みなさんの参考になると思いますので、社内公募制を敷かれたときのこと、よい点、苦労している点をお話ししていただけますか。立花 課題も含めてお話しすると、現在は約500ほどのポストが出てきていますが、導入直後は2桁程度で、社員もマネージャーもこの制度のことを最初は十分理解できていませんでした。マネージャーが理解していないと、社員が企業プロフィール北海道日産自動車株式会社◎創業 1947年◎業種  小売業(自動車関連・輸送用機器)◎従業員数  368人、うち正社員316人(2019年4月1日時点)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 60歳定年後再雇用制度について将来を見据えて見直しを実施。退職金制度や賃金設定をあらためるといった課題を一つひとつ乗り越え、2018年4月、定年を65歳に延長。損害保険ジャパン日本興亜株式会社◎創業  1888年◎業種  損害保険業◎従業員数  2万6108人、女性比率61.1%(2019年4月1日時点)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 中高年社員の活躍推進策として、「社外転進制度」、「ジョブ・チャレンジ制度」(社内公募制度)を整備。60歳の定年退職後は、65歳までの再雇用制度に加え、満70歳までの再雇用延長制度も導入。コーディネーター今野浩一郎氏 (学習院大学名誉教授 学習院さくらアカデミー長)

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る