エルダー2020年2月号
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特集2エルダー29人生100年時代 高齢社員戦力化へのアプローチ相談しても適切な対応ができません。そんなケースもあったと思います。徐々に制度理解も浸透してきましたが、まずは社員もマネージャーも制度を知ること、知らせることがポイントになると思います。今野 ジョブ・チャレンジ制度は、職場を越えていくときに使われる、と考えてよいのですか。立花 はい。自分のやりたい仕事が社内でできることはすばらしいことだと思いますし、そのための仕組みとしてよい制度なので、将来的にも拡大していくことになると思います。今野 例えば、ある職場のマネージャーが、「うちの職場ではいま、この仕事がとてもたいへんで、引き受けてくれる人が必要です」となったとき、中途採用により人材を探すことも一つの方法ですが、それを社内のジョブ・チャレンジ制度の活用により実現する。それが効果があるということが浸透していくと、どんどん広がっていきそうですね。年金受給を含む将来の生活について具体的に示し、情報を提供していく今野 続いて、60歳を超えてからの評価制度や賃金の仕組みなどについて、課題に感じていることがありましたら、お聞きしたいと思います。村田 60歳に近い年齢の社員と話をしていると、自分の年金や給料について十分に理解していないという人が意外に多かったため、給料・賞与などから計算し、具体的な数字を割り出してパワーポイントで説明する、ということを行いました。それによって納得感を得ることができ、再雇用の契約ができたりしましたので、今後も同じようにしていこうと思っています。ただ、時間を要するので、そのための時間と個別の対話の時間を確保していくことが課題ですね。今野 ありがとうございます。立花さんはいかがですか。立花 重要なことは60歳定年までは、「あそこへ」、「ここへ」というふうに、社員の働く場所を会社が決めていました。一方定年は、その後の進路は自分で決める「強制的なキャリアチェンジ」という大きな職業人生の転機です。50代の研修では、このような考え方を早めにしっかり伝え、必要な情報もきちんと提供することが大切です。60歳を超えても活き活きと働く秘訣は仕事を好きでいること、プロ魂を持つこと今野 社内にはすでに多くの60歳を超えている社員がいると思います。「わが社のいちばんがんばっている高齢社員はこんな人」というモデルがありましたら、お聞かせください。村田 モデルという話ではないのですが、定年延長をしてから、いまも働いている人たちに共村田雅義氏 (北海道日産自動車株式会社 執行役員 総務部長)立花一元氏 (損害保険ジャパン日本興亜株式会社 人事部 ダイバーシティ推進グループ主査 ライフデザインチーム)

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