エルダー2020年2月号
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2020.230通していえるのは、シンプルに「仕事が好きだ」ということ。みんなが「いまやっている仕事が好きなので続けさせてください」といいます。仕事が嫌であれば、選択定年制で手をあげ、「定年退職します」といえるのですが、現時点まで1人もおりません。立花 村田さんがおっしゃるように、私も仕事への「思い」、あるいは「プロ魂」みたいなもの、本気で働くといった気概といったものが、最も大切ではないかと思います。また、これまで活躍されている高齢社員を見ていて、好奇心が旺盛であること、そして、老若男女を問わないコミュニケーション能力も不可欠ではないかと思います。最も大事なことはコミュニケーション75歳までの25年間を大切に考えよう今野 最後に、これだけは強調しておきたい、ということをお聞かせください。村田 当社は360人余の会社ですので、人事担当者は、社員みんなの顔がわかっています。最も重要なことは、やはりコミュニケーションをとることだと感じます。こちらから出向き、「あなたのために時間を割いて来ました」ということをアピールしながら、仕事や生活の将来像について、シミュレーションを示し、話をする。このことは、私がいちばん大事にしていることです。だれもが会社から去らなくてはいけないタイミングが来るわけですが、そこまでどう働くか、このことがビジョンとして成り立っているかどうかが重要だと思います。 定年を迎えた人たちと話をすると、モチベーションの高い人ばかりで、今後も働きたいという思いが伝わってきます。単に、ペーパーの案内だけ出していたのでは、そういう気持ちになりにくいのだろうと思います。じっくりと対話をしていって、一人ひとりの将来への結論を導き出していく。これからも、このように取り組んでいきたいと思っています。立花 人生100年時代といいますが、一生に一度きりの「50歳から75歳の25年間をどう生きるのか」が、75歳以降の人生に大きく影響するのではないか、当社の研修ではこんな話をしています。50歳以降は、いろいろなしがらみもなくなり、一般的には子育ても終わり、好きなことができる時間が持てるようになります。この時間を楽しまなくてどうするのか。そのためには、働くことだけではなく、「働く、学ぶ、生きる」ことについて、この大切な25年間をどう過ごしていくのかを真剣に考えよう、ということを最後に申し上げたいと思います。今野 ありがとうございました。本日は、お2人から、定年延長や再雇用からの働き方について、こういう工夫をしている、こんな苦労がある、というお話をしていただきました。「これ、うちでも使えるぞ」とみなさんに有効な情報として持ち帰っていただけましたら、このディスカッションは大成功であったのかなと思います。パネルディスカッションの様子

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