エルダー2020年2月号
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2020.22株式会社共同 代表取締役社長有賀公哉さん合は、「生活のために働かないといけない」という人が多かったのですが、最近は「まだ元気だから働きたい」という人も増えてきました。寿命の延伸などにより、漠然とした将来の不安を抱き、元気なうちは将来に備えて働こうという人が増えています。昔ほど悲壮感を持って働く仕事ではなく、明るいイメージでとらえられる業種になってきました。―高齢従業員が持っている力を存分に発揮し、生きがいを持って働くようにするためにどのような取組みをしていますか。有賀 私が共同グループの社長に就任した2005(平成17)年に、「CSよりもまずES」の経営を目ざそうと考えました。お客さま第一主義も大事なことですが、昔はお客さまのちょっとしたわがままや理不尽なクレームがあると、その都度、会社からは「とりあえず謝って来い」といわれたり、あるいは経緯などとは無関係にクレームを発生させた責任だけが問われていたものです。その結果、この―貴社では、高齢者や障害者の雇用に積極的に取り組み、昨年の第9回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で厚生労働大臣賞を受賞されました。現在、高齢従業員の人数はどれくらいですか。有賀 当社はビルメンテナンス業として1978(昭和53)年に創業しました。従業員数は約400人(2020〈令和2〉年1月現在)。また、分譲マンションの管理と警備業の2社を加えた共同グループの従業員数は、現在約500人です。その多くは契約先の施設などの日常清掃業務に従事しています。60歳以上の高齢従業員は265人で、全体の約67%を占めています。そのうち70歳以上が122人、80歳以上が5人。最高齢者は85歳です。 もともとビルメンテナンスの仕事は社会的地位が高くないイメージを持つ人が多く、若者の職業選択先として敬遠され、逆に第一線を退いた高齢者が多いという特徴があります。私が入社した30数年前の高齢従業員の場仕事が嫌になり退職した仲間もいました。 しかし私は、大事なお客さまに喜んでもらうサービスを提供するのが従業員の仕事であるならば、何より従業員の満足度を上げるのが大事であると考えたのです。従業員が会社を好きになってくれれば、仕事に対する意欲もわき、お客さまからも高い評価を得られるはずです。従業員が働きやすい環境を整えることで帰属意識が高まれば、定着率も上がり、業務の安定や品質の向上につながり、最終的にお客さまへのサービス向上になると考えました。―ESを向上させるために、具体的にどんな取組みをしているのですか。有賀 一つは本人の希望や事情に応じて、働く時間や勤務日を柔軟に設定していることです。高齢従業員のほとんどが、週2日から3日、あるいは店舗の閉店後、早朝の清掃に従事するなどパートタイムで勤務しています。フルタイムであっても50歳を過ぎれば、親の介護が必要になるケースもあります。例えば本社の始業時間は8時30分ですが、親を施設に送り届ける必要がある従業員の場合、出勤時間を9時30分にするなど、個々の従業員の状況に応じて柔軟に対応してきました。ES(従業員満足度)を高め、生きがいを持って働ける職場づくり

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