エルダー2020年2月号
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2020.238験を活かした仕事を任せています。建設業での経験者は、農道の補修や畑の開拓に重機を操作して大活躍。左官職人は施設の拡張や補修に力を発揮しています。中村建たて司し施設長は、「警察官だった方は、定年をきっかけに故郷のこの地に戻り、当法人に再就職しました。更生保護事業における触法障害者への自立支援を担当してもらっており、職場内防犯研修の講師もお願いしています。この方のように、定年後Uターンで戻ったり、Iターンで移住してきた方が、入職されるケースは多いです」と話します。経験を活かし専門的なスキルを発揮している高齢従業員には、「専門職手当」を月に3千〜1万円支給しています。今回は、障害者支援施設の榎山学園で生活支援員として働くお2人に話をうかがいました。趣味が利用者の生活支援につながる 藤田穂みのるさん(73歳)は、榎山学園のひまわり寮に所属し、利用者が自立した日常生活や、社会生活を送れるようになるための訓練をサポートしています。朝は送迎バスに同乗し、通所利用者の見守りを行い、園に到着すると畑に出向き利用者とともに農作業を行います。藤田さんは58歳のときに更生会に入職しました。「福祉の経験はなく、生活支援の仕事ができいます。「70歳前後の人から、求人に応募したいが年齢が気になるとの問合せもあります。年齢を問わず多くの人材を受け入れたいので、健康であればどんどん採用していきます」と、淵ふち別べっ府ぷ 孝たかし事務局長は意欲的です。ただし、高齢従業員の場合は、健康面のフォローが重要とのこと。自分から体調不良を訴えられない人や、気力はあっても体に不調がある人もおり、不調を我慢したことにより脱水症状を起こした人もいたそうです。こうした高齢従業員の対策として、時間単位で休暇を取得できたり、年次有給休暇を取りやすくする制度を取り入れています。更生会にはこれまでもさまざまな業種で活躍してきた高齢従業員が入職しており、それぞれの経で再雇用する制度を導入しました。この定年延長の制度改定は、10年以上前から更生会を訪問している西村プランナーの助言に端を発しているといいます。「2017年1月に、高年齢者雇用開発コンテストへの応募を提案するために訪問した際、高齢者雇用率が2012年から5年で20%から30%に上昇していることを知りました。今後も高齢従業員の増加が見込まれると考え、65歳定年制の導入と合わせて、65歳超継続雇用の制度化を提案しました」と話します。その後、更生会は顧問の社会保険労務士と検討のうえ、第一段階として希望者全員を68歳まで再雇用する制度に改正しました。西村プランナーは更生会がコンテストで努力賞を受賞した同年10月にもあいさつを兼ねて再訪しています。「希望者全員の再雇用はほぼ定着し、65歳以上の継続雇用者も増加しているので、安定的な雇用のために65歳への定年延長を改めて提案しました」。こうした熱心な提案もあり、今回の65歳定年制、70歳希望者全員の再雇用制に改定するに至りました。定年後故郷に戻り、前職の経験を活かす60歳以上の高齢従業員が40%を超える更生会ですが、現在も高齢者の新規採用を積極的に行って左から淵別府孝法人本部事務局長、福留純一法人本部主任書記、中村建司施設長

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