エルダー2020年2月号
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2020.242を満たすことをねらいました。遠隔講習会では、仙台側のメイン講師1名と受講生をサポートするサポーター講師2名のチームで講習会を行いました。それぞれが写真1に示すように、異なるテレプレゼンスロボットを活用して遠隔講習を行います。講習は、メイン講師が実演した後で受講生の実習に移る形式で進行。サポーターは2〜3名の受講生の実習時の様子を観察したり、適宜質問に答えます。メイン講師の講師用ロボットはIBM東京基礎研究所が研究開発したもので、講師はロボットの操作ではなく、説明に専念できるようにハンズフリーで自動的に作動する仕組みになっています。ロボット(タブレット画面)の目線の動きがコミュニケーションの肝きも写真2は、講師用ロボットの遠隔操作を行っている様子です。メイン講師が遠隔地の様子を映すディスプレイを窓と見立てて、のぞきこみたい方向が見えるように顔を動かすと、ディスプレイ上部のカメラが講師の顔の動きを計測し、その動きからのぞきこもうとしている方向に、講師用ロボットの首を振ることでカメラを動かします。そうすると講習会会場側では、講師が見ようとしている方向にロボットの画面に映し出された顔が向くので、受講生が講師の目線を意識しやすくなり講師の存在感が感じられるようになります。2名のサポーター講師は前述の市販されているテレプレゼンスロボットのDoubleとkubiを用いました。遠隔講習におけるテレプレゼンスロボットの効果を評価するにあたり、一般に浸透しているSkypeで同様に遠隔講習会を行った場合とで比較を行いました。Skypeを使った遠隔講習では、仙台側のサポーターは、カメラ映像だけでは受講生が困っているのかどうか判断しにくいことや、受講生の注意を自分に向けさせることのむずかしさを感じていました。テレプレゼンスロボットを活用した場合では、仙台側のサポーターは一人ひとりの受講生にロボットを向けて様子をうかがえるようになりました。清瀬台側の受講生もロボットの動きで仙台側の講師やサポーターが自分に注意を向けているのかどうかがわかり、お互いが会話をするタイミングをつかみやすくすることができました。実際に講習時間中にテレプレゼンスロボットを活用した方が、Skype使用時よりも仙台側と清瀬台側とでコミュニケーションの頻度が増加することが確認されました。結果として、講習の内容に関する会話だけでなく、雑談も講師・サポーターと受講生との間で見られるようになりました。空間を超えて心理的な距離が近写真1 遠隔講習会で3種類のテレプレゼンスロボットを使用写真2 講師用ロボットのハンズフリー操作の仕組み講師の顔の動きを計測するカメラDouble講師用ロボットKubi

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