エルダー2020年2月号
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され続けることで、あえて廃止する理由もなくなり、その取扱いに依い拠きょした労働者の期待なども生まれてくることがあります。このような状態に至った場合には、労働者は、これを既得権として意識するようになっていきます。導入自体も流動的に、特に意識されることなく行われるため、これを廃止する方法についても特に意識されないことが多いように思われます。労働契約や就業規則などに明記されない形労使慣行について1労使間の労働条件を決めるのは、基本的に労働契約に基づくほか、就業規則や労働協約によって定められることになります。しかしながら、就業場所における細かいルールまで逐ちく一いち定めておくことは、現実的ではなく、一時的な取扱いのつもりで始めることもあるでしょう。そのようななかで、長期間にわたり、維持たとえ、労働契約や就業規則に明記されていない場合であっても、労使間において事実たる慣習となっている場合や黙示の合意が認められる場合などには、法的に有効な労働条件として拘束力を有することになります。このため、労使慣行により法的に有効な労働条件を不利に変更する場合には、就業規則の変更と同様に変更の合理性が求められることがあります。A労使慣行を変更するにあたり、注意すべきことはありますか長年にわたって、賞与の補充の位置づけで、年度末に一時金の支給を実施してきました。この一時金の支給については、労働契約はもちろん、就業規則にも明記しておらず、事実上支給してきたものです。このたび、業績の不振や昔と異なり従業員の給与水準が全体的に上昇してきたことから、一時金の支給を廃止して、賞与の支給に統一しようと考えています。特に、労働契約の内容や就業規則の規定を変更するものではないことから、廃止することは問題ないと考えていますが、変更にあたって注意すべきことはありますか。Q1第22回 労使慣行の変更、賃金の支払いの確保に関する諸制度弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2020.244知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q

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