エルダー2020年2月号
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2020.250海外からの視察概要【韓国】 「高齢化」は、日本だけでなく諸外国でもみられる問題であり、当機構においても、高齢者雇用推進の取組みについてのヒアリングを目的とした諸外国からの視察があります。 今回は、昨年ヒアリングに訪れた韓国からの視察団の様子とともに、参加者にお聞きした日本の高齢者雇用の取組みにおいて注目していることなどをご紹介します。2019(令和元)年11月14日(木)、大韓民国企画財務省課長の金ヨンミン氏を団長とした視察団が、独立行政法人労働政策研究・研修機構(以下、「JILPT」)副統括研究員の呉学殊氏とともに、当機構を訪れました。今回の視察の目的は、当機構(以下、「JEED」)の「高齢者雇用のために企業と労働者の方に行う支援の内容」、「高齢者雇用に関連して優秀な事例を開発・普及するために行っていること」、「高年齢者雇用アドバイザーの支援活動の内容とその成果」などのヒアリングです。JEEDの森川善よし樹き理事より業務概要のほか、65歳超雇用推進プランナー・高年齢者雇用アドバイザー(以下、「プランナーなど」)による相談・援助の例や、高年齢者雇用開発コンテストによる表彰、好事例の収集・提供などについて紹介。その後の質疑応答では、視察団の方々からプランナーなどによる相談・助言の効果や各サービスの詳細について質問が挙がるとともに、「高齢社員の戦力化を図るうえで大事なこととは何か」といった高齢者雇用全体の視点などについても質問が熱心に寄せられ、高齢者雇用についての関心の高さがうかがえる視察となりました。◆視察団に聞きました!Q1韓国の高齢者雇用について、課題と考えられることは何ですか。◆韓国では法的に定年が60歳と定められている状況で、年金制度の改編により国民年金受給年齢が段階的に上がり(現在62歳、2033年65歳の予定)雇用と年金の制度的ミスマッチが発生しています。また、硬直的な年功賃金体系のため、企業は高齢者の雇用延長に、人件費の増額という負担を感じています。賃金体系改編、柔軟な労働時間制度、高齢者に最適な職務の開発など、高齢者の人事労務システムを合理的に改編しながら、高齢者の雇用延長を通じて、雇用と年金を制度的に連携させることが必要であると思います。◆韓国は世界で最も急速に高齢化が進むなか、最近発表された将来人口の特別推計によると、2025年には超高齢社会(65歳以上の高齢者が全人口に占める割合が21%)に突入すると予測されるとともに、2018年をピークに生産年齢人口(15〜64歳)の減少も進むことがわかりました。こうした

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