エルダー2020年2月号
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2020.256※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します佐藤広ひろ一かず 著/日本実業出版社/1700円+税角つの田だとよ子 著/経団連出版/1500円+税働き方改革関連法企業対応と運用の実務がわかる本認知症介護と仕事の両立ハンドブック要介護認定者数の増加にともない、親の介護を行う社員の人材喪失リスクに危機感をおぼえる企業が増えてきているという。企業規模にかかわらず、介護離職防止対策の構築が、今後の事業の安定的な継続のカギになるといえるだろう。こうした動きをとらえ、本書は認知症介護に特化した介護離職防止対策の入門書として刊行された。全体の構成は「認知症の基礎知識」、「介護をプロジェクトにする」、「実践 認知症介護」、「公的支援の仕組みと介護休業法」、そして「認知症予防、症状改善Q&A」の5章からなり、介護にかかわりがなかった人にも理解しやすい、平易な言葉でまとめられている。一読して実感したのは、介護を「個々の家族の問題と考えずに、上の世代を下の世代が支える世代交代の儀式」ととらえることの重要性だ。介護に悩みを抱え、孤立しがちな人に寄り添ってきた著者ならではの思いが込められているのであろう。企業の人事労務担当者はもとより、中高年の従業員が本書を読むことで、万一の場合の備えができる好著としておすすめしたい。なお、認知症の医療にかかわる解説は、日本老年精神医学会指導医の須す貝がい佑ゆう一いち氏が監修を務めており、本書の信頼性を一層高めている。多様な働き方の実現や長時間労働の是正などを目ざして2018年に成立した「働き方改革関連法」が、昨年4月より順次施行されている。労働力人口の減少が加速するなか、企業が持続可能な成長を遂げるためには、働き方改革の推進が不可欠といわれるが、複数の法律が対象となり内容が多岐にわたることなどから、対応に苦労している企業が多いともいわれている。本書は、特定社会保険労務士として多くの企業の人事労務相談や人事労務領域のコンサルティングにかかわる著者が、働き方改革関連法に関して企業として知っておくべきことや、準備しておきたい対応策をわかりやすく説いている。労働施策総合推進法、労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法、パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法の六つの法律の改正事項を取り上げており、例えば、パートタイム・有期雇用労働法の章では、正社員と非正規社員との不合理な待遇差の禁止について、実務上での注意点を解説。定年後に再雇用された有期雇用労働者にも触れている。「働き方改革関連法」施行に際し「対応策を知りたい」と悩む経営者や人事労務担当者にとって、実用的な一冊といえよう。企業がとるべき対応策をわかりやすく解説人材喪失リスク低減のために必要な知識を過不足なく網羅

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