エルダー2020年2月号
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2020.24株式会社共同 代表取締役社長有賀公哉さんフは、60歳になると嘱託勤務となりますが、給料はほとんど変わりません。ただし、65歳を過ぎると本人の希望で週3日、あるいは一週間のうち中なか日びの水曜日は休みたいという人も増えてくるため、柔軟に対応しています。―他社を定年退職した人や、再雇用を終えた人も受け入れているそうですね。有賀 静岡県は製造業大手の会社が多いのですが、その会社の総務・人事に対し、「当社で働きたいという方がいれば受け皿になります」とPRしています。実際に定年後や再雇用後の65歳以上の方を、年に10人以上受け入れています。働く動機としては、「あと3年は働きたい」、「70歳まで働きたい」、「いままでと違う仕事をやってみたかった」などさまざまですね。私としては人手がほしいということもありますが、それ以上に65歳で仕事から卒業するのはあまりにも早すぎるし、寂しいと思うのです。しかし、永年勤務された方が別の会社に就職しようとしても、違う環境に飛び込むのには勇気も必要ですし、不安もあるはずです。高齢者でも活躍できる当社のような会社があることを知ってもらいたいですし、受け入れることは社会貢献でもあると思っています。―大手企業出身者のなかには、以前の会社での地位やプライドを引きずっている人もいるかと思います。どのようなメッセージを発信していますか。有賀 新しく入社する人を対象とする新人研修会を実施しています。業務上の心構えや行動の指針を明確にした、共同グループの「行動指針クレド※2」を直行・直帰の現場の従業員を含めて全員に配付しており、それをベースに新人研修を行っています。 また、「共同グループの歴史と伝統」という社是を社内に掲示しています。そのなかで「共同グループの未来は、創業の精神に基づいてその歴史と伝統の上に立って、現実を直視し、それを育て改革し、適応していく我々従業員の不断の努力の先にあるものである」と謳うたっています。たしかにプライドの高い人もいます。そういう人には「あなたの経歴がどんなにすばらしくても、第二の人生を当社の一員として働く以上は、社是にある『現実を直視し、それを育て改革し、適応していく』ために、ぜひわれわれの事業の協力者になってください」とお願いしています。―最後に、高齢者雇用に取り組む中小企業にアドバイスをお願いします。有賀 高齢者が職業人生でつちかった知恵や経験は大きいし、私も勉強になります。私だけではなく従業員やマネージャークラスを含めて、人生の先輩から学びの機会を得ることができるのはメリットの一つです。また、高齢者にかぎらず障害のある人が一生懸命がんばっている姿を見て、若い世代もがんばろうというよい刺激ももらっています。働く環境がある喜びを感じ、活き活きと働いている高齢従業員の姿を見ると、経営者側の私もうれしくなります。若い人には〝教育〞と〝教養〞が必要ですが、高齢者も〝今日行く4444場所〞と〝今日用444がある〞ことが生きがいにつながるのです。〝今日行く(=教育)場所〞と〝今日用(=教養)がある〞ことが高齢者の生きがいにつながる(聞き手・文/溝上憲文 撮影/上木鉄也)※2 クレド……会社の理念や社長からのメッセージについて記載されている名刺サイズのカード

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