エルダー2020年3月号
15/68

特集エルダー13人生100年時代 高齢社員戦力化へのアプローチ高齢社員のキャリア支援藤波 次に、高齢期以降も活躍するためのキャリア支援についてお聞きしたいと思います。ポーのポイントにより、月給制または時給制に分かれます。再雇用制度では、四つの基本テーブルがあり、毎年の評価によってこのテーブルがアップダウンします。再雇用後も年収が毎年変わります。再雇用者は、仕事の目標を基にする仕事評価と、能力の発揮度を見る行動評価の両方で評価が決まります。藤波 2社ともに、高齢社員の評価をされていて、それが処遇などに反映される仕組みがあります。 ここで小西さんに人事のプロとしてのご意見をうかがいたいのですが、定年前と比較して賃金が下がる場合、高齢社員は気持ちを切り替えるのがむずかしいと思うのですが、どのように進めていくとよいのでしょうか。小西 私は、継続雇用に移行する社員に対しては、こんな風に話をしています。「あなたは定年退職をしました。今後はパートやアルバイトと同じように、社外の労働市場で働くことになります。つまり、あなたを雇うとしたら、期待役割や仕事内容、活用方法はこれまでと少し変わり、これだけの報酬になります。これは仕事基準で格付けをした結果としての金額です」と。これが、合理性がある説明ではないかと思います。藤波 いまのお話で大事なポイントは、定年により雇用関係がいったん終了しているというところで、それ以降の期待役割などが変わることと、報酬についての説明をきちんとされるということですね。小西 はい。ただ、どんな制度を入れたとしても、定年退職して処遇が下がるということに関しては、なかなか納得してもらえないものです。説明をして、理解はしてもらえるのですが、納得という点では永遠の課題なのかもしれません。藤波 客観的なデータなどを示して説明をすることが必要になるということですが、その前提として、高齢社員に今後どのように働いてもらうのか、そこをきちんと決めることがまず大事になるわけですね。企業プロフィール株式会社ポーラ◎創業 1929年◎業種  化粧品製造・販売業◎従業員数  1,621人 (2018年12月末現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 60歳定年後の継続雇用制度を2018年に改定し、五つのコースを設定し、評価制度、コース決定の仕組みなどを整備。行動評価により、年齢上限なく継続して働けることを可能とした。損害保険ジャパン日本興亜株式会社◎創業  1888年◎業種  損害保険業◎従業員数  2万6,108人 (2019年4月1日現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 中高年社員の活躍推進策として、「社外転進制度」、「ジョブ・チャレンジ制度」(社内公募制度)を整備。60歳の定年退職後は、65歳までの再雇用制度に加え、満70歳までの再雇用延長制度も導入。コーディネーター藤波美帆氏 (千葉経済大学 経済学部 経営学科 准教授)

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る