エルダー2020年3月号
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2020.322当社は2019(平成31)年4月、定年を60歳から65歳へ引き上げました。本日は、その経緯や内容についてお話をさせていただきます。当社は1909(明治42)年に日本で初めて段ボールを事業化した会社です。以来、日本の段ボール業界のリーディング・カンパニーとして、日本経済の発展に寄与してまいりました。レンゴー単体の従業員数は4474人、うち正社員は4047人。60歳以上の社員は全体の約4%です。再雇用制度は2001年に導入し、2013年から希望者全員を65歳まで再雇用する仕組みとなり、再雇用率は約8割で、2019年3月時点の再雇用者は195人です。再雇用者は戦力になっていたと考えていますが、再雇用後の賃金低下などによるモチベーションのダウンが一部に見られました。また、人材の確保ということが重要課題として浮上し、2017年に労使共通のスローガンとして「生涯現役」を掲げて、社員のモチベーション維持を最優先にした65歳定年の検討を始めました。2018年3月に労働組合に改定案を提示し、6月に合意。2019年4月からの実施に向けて、社員への説明を進めて実現しました。当社の65歳定年制の特徴をひと言でいえば、再雇用制度とは異なり、処遇は変わらず役職定年は設けない、というものです。基本給を下げず、賃金改定は59歳までの計算式と同じとし、発揮能力に応じて64歳まで昇給可能で、賞与も59歳までの計算方法と同じです。退職金はポイント制で、毎年ポイントを付与し、累積ポイント分を退職時に支払います。ポイントは60歳までは従来通りに付与して固定し、その後は利息ポイントが付与されます。人件費は相応のアップとなりますが、企業のパワーアップに資するということで、決断しました。また、社員を「65歳まで生涯現役でがんばろう」という気持ちに変えていくことが大切と考え、機運を盛り上げるためのさまざまな取組みも実施しました(下表参照)。今後の課題は、長時間労働の是正、職場環境と設備の改善です。この2点は、すべての社員が働きやすい職場づくりにつながり、必要不可欠であると認識しています。また、65歳以降の継続雇用制度の構築も検討課題の一つです。以上のような課題はありますが、65歳定年の導入により、社員がパワーアップし、会社の持続的な成長、発展につながることを会社は期待しています。今後ともみなさまのご指導・助言をいただきながら、前向きに取り組んでいきたいと考えています。「生涯現役」を目ざして 〜処遇を変えずに65歳定年を実現〜レンゴー株式会社 人事部長※ 玉たま置き克かつ己み※ 現在はレンゴー・トッパンコンテナー株式会社専務取締役企業事例発表3〈「生涯現役」の機運を盛り上げる取組み〉① 労使共催研修   対象は57~59歳の組合員79人。会社・組合からの期待を伝えるほか、健康づくりのためのラジオ体操講習などを実施。 ②労使共催「ポスターコンクール」   65歳定年、生涯現役をテーマにしたポスターを募集。特選・優良作を全国の事業所に掲示。 ③レンゴーはつらつ健康宣言   2019年1月に策定・公表。これを機に、健康経営を本格的にスタート。大阪会 場

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