エルダー2020年3月号
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2020.324玉置 少数ではありますが、余人をもって代えがたい人材については、65歳以降も継続雇用しているという実態はあります。ただ、一方で課題となるのはやはりモチベーションです。特に60代後半以降は気力・体力の個人差も広がるので、65歳までのような一律の処遇はむずかしくなるでしょう。そういった意味でも65歳以降については、これからの課題だと考えています。中高年からのキャリア開発・研修制度大木 続いて、45歳ごろからの社員への能力開発、キャリア開発についてうかがいたいと思います。髙島屋さんからお願いします。松室 当社では、年齢軸ごとに全員参加のセミナーを実施しています。40歳でキャリアプランセミナー、50歳と55歳でライフプランセミナーを行います。50歳になるとやはり、健康や介護、資産形成といったライフプランに対してセミナーでの関心の度合いが高くなってきます。そういうなかで、一人ひとりのモチベーションを保ちながらキャリア形成を進めていくわけですが、50代になると、昇進がない、職務が固定化される、がんばっても相応の評価がされない、といった不満が芽生えてくるのではないかと考えました。 そこでこの4〜5年は、課長以上について職務管理を強化し、目標の持たせ方とそこから出てきた成果、それに対しての処遇のメリハリをつけることで、やる気を引き出すようにしています。このことが、一人ひとりのブラッシュアップ、キャリア形成と相関するのではないかと思っています。評価と処遇が一体となった形でのキャリア形成なり、キャリアプランを考えていく時期にきていると思います。 以上の通り人事管理の軸については、係長までは職能資格等級、職務管理をベースにしていますが、現在、課長以上につきましては職務管理を強化しています。同時に、40歳、50歳代の能力開発について、いま、新たに取組みを進めている状況です。大木 レンゴーさんでは、社員の約半数が現業職ということですが、どういう点に注意されて企業プロフィール株式会社髙島屋◎創業 1831年◎業種  百貨店業◎従業員数  8,835人(うち正社員4,731人)(2019年2月末現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 60歳定年後、それまでのキャリアと本人の希望などにあわせて選択できる、多様な再雇用コースを設定。また、定年後も見すえたキャリア・ライフプラン支援も充実させている。レンゴー株式会社◎創業  1909年◎業種  紙・紙加工品製造業◎従業員数  4,474人(うち正社員4,047人)(2019年9月現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 「生涯現役」を掲げて2019年4月、65歳定年を実現。社員のモチベーション維持・向上を最優先し、処遇は変更せず、役職定年も設けず、活躍を推進する内容を実現した。コーディネーター大木栄一氏 (玉川大学 経営学部 国際経営学科 教授)

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