エルダー2020年3月号
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2020.326範囲でけっこうですので、考え方や裏話などがありましたら教えてください。玉置 最終的には、社長の決断です。当社社長の大坪は、関西生産性本部※の会長も務めており、80歳になりますがとても元気で、「生涯現役」のお手本のような人物です。 定年延長によりかかる具体的な金額は申し上げられませんが、それなりのコストになります。しかし社長は、人は「コスト」ではなく、「パワー」であり「投資」であると。そういう考え方を明確に示したうえで、最終的な決断をしてくれました。今後に向けた課題とアドバイス大木 最後に60代を含めて、高齢社員を活用していくうえでのアドバイスなどをお2人から一言ずつお願いしたいと思います。松室 働く場を提供することが私たちの責務の一つではありますが、一方で、生活の観点から、どういう選択肢を持てばどの程度の収入が得られ、どの程度の年収になるのか。そういう多様な選択肢を会社が提示していく、もしくは、わかりやすく制度のなかに組み込んでいくことが大切です。このことが、今後の人生100年時代の当社の大きな課題であると思います。玉置 今日ここにお集まりの方々は、高齢者の活用に関していろいろ悩まれていると思います。私も、人事部長の立場で新制度を導入するにあたってはずいぶん悩みましたし、意見が衝突することもありました。しかし、社長による最終決定が出た後はスッキリしました。「もうやるしかない」と。そうすると、残った課題が明確になります。当社でいえば、あとは健康面と環境の整備です。そしていま、健康経営に力を入れています。 さまざまな選択肢があると思いますが、決断をした後は、残された課題にどう対応していくか、あるいは、選んだ選択肢をどう有効につなげていくか、その点が非常にクリアになります。悩まれている方、検討されている方は、まずは決断をして、いち早く次の課題に取り組まれたらよいのではないかというのが、私のアドバイスです。大木 たいへん参考になるお話を、どうもありがとうございました。※  公益財団法人関西生産性本部……労・使・学が協力して推進する「生産性向上運動」の関西におけるセンター玉置克己氏(レンゴー株式会社 元人事部長)パネルディスカッションの様子

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