エルダー2020年3月号
30/68

2020.328当社は、訪問介護や居宅介護支援、デイサービス、グループホームなどを展開する介護事業を行う会社です。2000(平成12)年に創業し、福岡市を中心に現在七つの支店があり、従業員数は299人、うち正社員が143人です。平均年齢は50歳。全従業員における60歳以上の占める割合は約30%となっています。当社はもともと、定年制度を設けておらず、75歳以上のホームヘルパーがあたり前のように働いている会社でした。2014年に65歳定年制度を設けましたが、実態としては65歳を超えても働き続けているヘルパーがたくさんいます。正社員の賃金は、65歳を超えても基本的に定年前と同じとしています。ボーナスの評価は年2回ですが、年金受給などを考慮し、若手を優遇した原資配分となっています。若手といっても40代で、子だくさんの者が多いという背景もあり、高齢社員にも理解をしてもらったうえでの対応です。これらは、人手不足が続いている介護の職場の特殊な状況といえるかもしれません。このようななかで、一人ひとりを積極的に評価して、高齢社員の能力を最大限に活かしていきたいと考え、日ごろから取り組んでいます。定年制度を設けた6年前に従業員アンケートを実施し、「何歳まで働きたいか」をたずねた結果、「65歳」が10%、「66歳から69歳まで」が約16%、「70歳以上」が19%のほか、「会社が必要としてくれるなら体が元気で働ける限り」という回答が53%あり、非常にありがたいと思いました。65歳以上の方に働きやすい環境について尋ねると、「働く時間・日数を短縮するなど就労負担の緩和」が最も多く31%でした。また、「65歳からの区切りで新たな専門性を学び、仕事で発揮できる研修の環境」を望む回答も7%ありました。介護の仕事は、年齢に関係なく技術を身につけていけば、よりよい介護につながります。アンケート結果をふまえて、能力開発の機会を充実させていくことが重要だと思っています。今後の課題ですが、やはり人手不足は深刻で、外国人や障害者、服役した方が働ける場としての雇用も行っています。加えて、今後の介護事業は地域の人々に支えられることも大切です。介護保険の利用者自身が働き手となる、仕組みづくりも重要と考えています。介護とは、介護する側もされる側も幸せになる関係であると、私たちは思っています。おばあちゃんがひ孫のような若い介護職員を見てほほ笑み、それに応えて楽しそうに介護をする、こういう関係を社会全体につくることができれば高齢社会は変わりますし、その一助をになっていきたいと思っています。高齢者雇用の状況と生涯現役への取組み株式会社ケアリング 専務取締役 岡部 廉ただし企業事例発表5〈ケアリングの高齢者雇用の特徴〉■ 60歳以上の職員が多いのは、夜勤勤務者、認知症グループホーム常勤者、デイサービスの看護師、訪問介護ヘルパーの非常勤職員■ 特に、訪問介護ヘルパーの非常勤職員は、経験年数10年以上のプロフェッショナルが大半■ ケアリングの介護サービスを支えたのは、高齢の女性の非常勤ヘルパー福岡会 場

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る