エルダー2020年3月号
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2020.336ルジュとして働いています。「フロアコンシェルジュは、銀行のフロアにいらっしゃる案内の方と同じような役割で、薬局の店舗内に立ち、患者さまの接客をする係です。お茶をお出しし、ご案内だけでなく、世間話をすることもありますし、薬剤師から薬の説明を聞くときに必要に応じて患者さまのそばにいてサポートすることもあります」と大城さん。現在、21人のフロアコンシェルジュが各店舗で活躍しています。古堅常務取締役は、「フロアコンシェルジュには、患者さまの気持ちをくめる人材を採用しています。大城さんは、医療事務経験者で、笑顔がとてもよく、彼女なら気配りもできると直感し、配属しました」と話します。その直感の通り、大城さんは「お客さまからのお褒めの言葉が断トツに多い社員です」と古堅常務取締役。今年度の同社の功労賞を受賞しました。「恐縮しましたが、人生の表彰と思い、感謝いっぱいの気持ちでいただきました」と大城さんはうれしそうに振り返りました。大城さんは、56歳までの26年間、個人病院に勤務して医療事務を担当していましたが、お母さまが病を患い、退職。看取りを終えて、58歳で同社に再就職し、9年が経ちました。仕事では、「患者さま一人ひとりの体調や様子などに気づけるよう心がけて、家族のように思い接しています。そ正堂さんでは、一人ひとりの社員を見るための、契約社員やパート社員も含むすべての社員を評価する制度を整えています。基本的なことを評価する内容とのことですが、大事な取組みだと思います」と同社の取組みを評価します。同社の60歳以上の社員数は33人。60代や、薬剤師では70歳を超えた人材も採用しており、今後は高齢社員が増えていくことが見込まれています。今回は、同社のすこやか薬局でフロアコンシェルジュとして活躍している大おお城しろ美佐子さん(67歳)に、お話を聞きました。だれかの役に立ちながら働けることに感謝大城さんは、週5日、9時30分から17時30分まで、「すこやか薬局西原店」で、フロアコンシェ同社常務取締役の古ふる堅げん春樹さんはこうした取組みについて、「女性が多いから行っているのではなく、社員一人ひとりの強みや弱み、事情はいろいろですから、その人に合わせた工夫や配慮をするように努めています。例えば、子育てをしている社員には無理なく働き続けられる勤務時間を工夫するとか、障害があるため高い所に手が届かないという社員には周りの者が手助けをする、あるいは、若くて体力があってもうっかりミスをしがちな社員に対しては周りの者が二重のチェックをするなど、それぞれに合わせた工夫や配慮を店舗ごとに話し合い、実行しています。過去には、聴覚障害のある社員に、ほかの社員に手話を指導する役割をになってもらうなど、それぞれの強みを活かす取組みを行っています」と説明します。こうした対応は最初からできたわけではなく、店舗ごとに話し合い、どうしてもサポートがむずかしい場合は、ほかの店舗と調整するなど、探りながら一つひとつ進めてきたといいます。「100年続く企業を目ざそう」という将来の目標を掲げ、話合いをするときは、目の前の課題だけでなく、100年先を見据えた工夫などをみんなで考えているそうです。青山プランナーは、「それぞれにあった柔軟な働き方がしやすい職場環境の整備は、これからますます必要になる視点です。そのベースとして薬薬正堂の古堅春樹常務取締役

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