エルダー2020年3月号
39/68

エルダー37うしたなか、患者さまのお役に立てたと感じられることがやりがいであり、私のパワーになっています」とやさしい表情で話します。また、「『体調や健康に気をつけて、一日でも長く働いてください』と、会社のみなさんからいってもらえることも励みになっています。ここは、社員の健康を大事にしているすばらしい会社です。その一員として、だれかの役に立ちながら働けることに感謝し、人生の充実をはかり、年を重ねられたらと思います。理想は70歳手前くらいまで現職を継続し、その後は健康状態や会社のニーズもあると思いますが、別職種で75歳くらいまで働き続けられたらよいなと考えています」と将来の抱負を話してくれました。人が集まりたくなる企業になるために同社では現在、76歳の薬剤師が現役で活躍しています。ほかの会社を75歳で退職後、薬正堂で採用したそうです。長く学術的な仕事に就いており、同社に入社してからは、その力を活かしながら薬局での業務を勉強し、いまは助っ人的な立場でいろいろな店舗で働いているとのこと。「『仕事が楽しい』といって、活き活きと働いています。向上心を持ち、コンピューターの扱いなどは若い社員から学んでいて、その姿にまわりの社員がよい刺激を受けていると聞いています」と古堅常務取締役。また、次のように課題をあげています。「薬剤師は、体力も神経も目も使いますし、正確さ、スピードも求められます。60歳以上の社員は、1年ごとの更新時に健康状態や本人の希望と店舗ごとのニーズによって継続の可否や働き方を確認します。継続者に共通しているのは、学ぶ姿勢でしょうか。若い世代との支え合いが自然にうまくいっているようにみえます。ただ、高齢社員が増えているので、健康管理に対してさらなる努力が必要であると感じています」この課題について、青山プランナーはこのほど、当機構の「健康管理診断システム」を同社に実施しました。「従業員の健康維持・増進のため、どのように企業として必要な体制を整備すべきか」という観点から、検討事項を明らかにするシステムです。社員からのアンケート調査をもとに、これから結果を分析するそうです。また、同社の依頼を受けて、青山プランナーが講師になり、近く「就業意識向上研修」を実施する予定とのこと。将来の人生設計について考える機会となるもので、「こういう研修があることを知り、やってみたいと思いお願いしました」と古堅常務取締役。続けて、同社の今後について、次のように話しました。「少子化時代が続き、若い人がいないのですから、『これからはおじい・おばあが、おじい・おばあに接する時代が来るよ』と社員によく話しています。年齢や障害などにかかわりなく、ここで働きたい・働いてほしい、と思った人を迎えて、縁を大切にして、その人に合った働き方を実現できる職場環境にしていきたい。当社社長は、『人は集まりたいと思うところに集まる』といっています。温かいものがあり、人が集まるところになるために、いまできることからまずやってみようと社員に話し、取り組んでいるところです。結果的にこれらの動きが、社会のニーズや動きに則しているとよいなと思います」 (取材・増山美智子)薬局でフロアコンシェルジュとして笑顔で接客をする大城美佐子さん

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る