エルダー2020年3月号
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2020.350「工作機器製造業」は、広範な需要がある要素部品や器具を製造・供給する役目をになっている。工作機器産業がこれからもタイムリーかつ安定的に製品を供給するには、製造や営業、開発現場の経験豊かな従業員が長年つちかってきた有形無形の人的ノウハウを活用し製品を生み出すことが鍵になる。日本工作機器工業会は、改正高年齢者雇用安定法の施行を契機に工作機器業界の実情に即した新しい高齢者雇用システムを提示すべく、企業と従業員の双方を対象としたアンケートおよびヒアリング調査を行い、両者の意識の比較をはじめ、業界特有の課題を洗い出し、業界全体で取り組むべき方向を示した六つの指針からなるガイドラインを取りまとめた。  「Ⅰ 工作機器製造業における高齢者の活躍に向けた考え方」では、工作機器製造業においてさらなる高齢者の活躍が求められる背景を述べたうえで、高齢者の活躍に向けた考え方を整理している。「Ⅱ 工作機器製造業において高齢者の活躍を推進するための指針」では、業界各社が高齢者の活躍を推進しながら競争力を高めるために取り組むべき課題や方向を、以下の通り六つの指針としてまとめている。指針1  次世代に伝えたい、もの創りにかける高齢者の「心」と「技」指針2  業務と貢献度に応じて評価し処遇する指針3  高齢期の「生きがい」に影響する「業務内容」と「勤務形態」指針4  高齢者への役割や期待を明確化して多様なメニューを用意 指針5  強みを発揮する高齢者を生む高齢期前の研修制度指針6  「高齢者雇用」は会社から現役従業員へのメッセージ各指針において「企業の意見」、「従業員の意見」として、ヒアリング調査の結果を紹介しているほか、高齢者雇用に取り組む他業界の好事例も紹介されており参考になる。「Ⅲ 工作機器製造業における高齢者雇用をめぐる現状と課題」では、会員企業ならびに各社の従業員を対象としたアンケート調査(59歳以下と60歳以上向けの二つの調査)とヒアリング調査の結果、得られた示唆について述べている。各調査結果をふまえ、高齢者の活躍に向けた課題として、高齢者雇用を高齢期以降の問題としてのみとらえるのではなく、社員だれもが到達する道筋として、トータルな人事施策として位置づけることの必要性を提言するなど、工作機器製造業における高齢者雇用の現状と課題、各社の取組みを多面的にとらえた内容となっている。また、「参考資料」として、高齢者雇用に関する情報一覧を示し、運用上の課題解決に向けた相談のできる支援機関を紹介。高齢者雇用をめぐる今後の政府方針や在職老齢年金と高年齢雇用継続給付の仕組みなどについても紹介している。「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」一般社団法人 日本工作機器工業会1工作機器製造業 高齢者の活躍に向けたガイドライン 〜次世代に伝えたい、もの創りにかける「心」と「技」〜一般社団法人 日本工作機器工業会連絡先:東京都港区芝公園3―5―8 機械振興会館2階TEL:03―3431―4103FAX:03―3434―2613HP:http://www.jmaa.or.jp/japan/index_j.html2019年度策定

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