エルダー2020年3月号
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特別企画エルダー51「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」のご紹介「中小型造船業」は、高齢者が増加しており、現場作業を技能・技術に優れた高齢者の再雇用に頼っている傾向がある。さらに、研修・教育のにない手としての活躍も高齢者に期待している。例えば、近年増えている中途採用者や転職者向けの社内研修の講師、若年層の技能向上と待遇改善を推進するために、現在実施を検討中の「造船技能評価基準に基づく社内検定」の検定員、あるいは40〜50代の中核社員を各社から派遣してもらい実施している「社員造船技能研修センター」での新入社員研修などの講師や指導員などである。本ガイドラインでは、造船業にかかわる仕事のノウハウや経験を身につけた高齢者の意欲を高め、能力を最大限に引き出すことが企業の発展や将来性に大きく影響することを示し、定年延長、再雇用の延長等を行い高齢者の就業を増やすことにより、社内研修やOJT等の分野において指導・育成に寄与してもらうための方策を取りまとめている。「本編」では、高齢者の活躍を促進するための三つのポイントを掲げて解説している。「1 体力・健康面に配慮した職場環境の見直し・改善」では、定年後の従業員を活用する際の配慮として、高齢者に顕著にみられる体力・健康面の個人差を把握するポイントや、無理をさせないための休憩・休暇の取り方・働き方、また、多能工化と配置転換しやすい環境づくりを進めるほか、体力負荷の少ない職場環境の整え方を紹介している。「2 モチベーションの維持・向上」では、定期的に話合いの場を設けることを提案しており、話合いによる高齢者の意向確認の仕方や、会社が伝えるべき項目を取りまとめている。また、多様なワークスタイルへの対応を可能とするためにも、就業規則や契約書を整備すること、そして賃金設定と人事評価の重要性についても解説している。「3 技術・技能伝承の円滑化」では、伝承すべき技術・技能を「見える化」してコツやポイントをまとめることを推奨している。また、後進指導の依頼を具体的にする、人材配置、コミュニケーション促進、ギャップを解消する、あるいは高齢者への教育のための時間を設ける、といった項目を技術継承のポイントとしてあげている。「調査資料編」は、2018年度に実施した中小型造船業高齢者雇用実態調査の結果をまとめた報告書で、本編の内容の根拠および補足となる内容である。「参考編」の「参考編Ⅰ 高年齢者の雇用、年金、保険、公的給付・助成金に関する情報」では、気になる年金、保険、各種公的助成策、65歳超雇用推進プランナーや高年齢者雇用アドバイザーによる相談・援助の実施といった、企業と従業員の双方に役立つ情報を掲載。「参考編Ⅱ 高年齢従業員を対象とする労働契約書・就業規則等の例」では、実際に高年齢従業員を継続雇用する際の、定年退職後の労働契約書・就業規則の例を紹介している。一般社団法人 日本中小型造船工業会2中小型造船業高齢者雇用推進ガイドライン 〜造船業界のさらなる発展のために〜一般社団法人 日本中小型造船工業会連絡先: 東京都千代田区霞ヶ関3―8―1 虎ノ門三井ビルディング10階TEL:03―3502―2061FAX:03―3503―1479HP:http://www.cajs.or.jp/

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