エルダー2020年3月号
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2020.352一般社団法人日本電子デバイス産業協会(NEDIA)は、いわゆる業界団体とは異なり、「電子デバイス産業」の川上から川下にわたる広い分野をつなげる横断的な戦略組織である。同業界は知識・技術の専門分化が進んでいるが、高齢者が持つ専門分化以前の総合的な知識や技術、あるいはレガシー分野※の専門性へのニーズも高く、多くの高齢者が活躍している。しかし、その一方で高齢者の就業にあたり、従前の仕事・役割を変えて働くケースも多く、その際に「どんな知識やスキルが活かせるのかわからない」と悩む企業・高齢者も少なくない。本ガイドラインは、業界初となる高齢者雇用の実態と課題についての調査結果を示すとともに、調査結果をふまえた高齢者活躍のさらなる推進に向けた取組みとして、「高齢期の活躍ステージで〝使えるスキル〞を発見する方法」と、この手法をベースにした各種研修の開発手順を紹介している。「第Ⅰ章 本業界の高齢者雇用の特徴と取組課題」では、同業界における高齢者雇用を取りまく特徴として、シニア社員を活用している企業が多いとし、さらに、シニア社員の持つ古くからの技術・技能のほか、「人を育てる力」、「人脈」、「交渉力」を活かせる場があることや、同一企業内にとどまらず産業内で技術を活かせることなどから、シニアが活躍できるチャンスがあると述べている。そのため、大半の企業がシニア社員を雇用することにメリットがあると考えているが、シニア社員の活躍に向けた取組みはこれからという状況にあるとしている。「第Ⅱ章 シニア期の『〝使えるスキル〞発見法』について」では、直近のキャリアにかぎらず、これまでのキャリアや仕事経験を振り返り、いまも使えるスキルを見つけることを「〝使えるスキル〞発見法」と定義している。特に優先度が高い取り組むべき事業(テーマ)からシニアが持つ技術の掘り起こしを行うなど、「〝使えるスキル〞発見法」のねらいと基本について概説している。「第Ⅲ章『〝使えるスキル〞発見法』をベースとする研修プログラムについて」では、第Ⅱ章で示した「〝使えるスキル〞発見法」をベースとした研修プログラムの概要(プログラムの名称、対象者、目的など)と、個々の企業において研修プログラムを開発するための手順を示している。研修で配付資料として使えるフォーマット(案)は、各社の状況に合わせて手を加えても、そのままでも活用可能となっている。「第Ⅳ章 データ:本業界における高齢者雇用の状況(アンケート調査結果)」では、電子デバイス産業における高齢者雇用の状況について、2018年度に電子デバイス産業協会の正会員を対象に実施した、高齢者雇用にかかわるアンケート調査とヒアリング調査の結果により概観する。これにより、高齢者雇用の実態に加え、制度や取組みの導入状況、今後の高齢者雇用推進に際しての課題などを明らかにしている。巻末の「資料編」では、高齢者雇用推進に取り組む際に役立つ公的な支援策や相談窓口などの情報を掲載している。一般社団法人 日本電子デバイス産業協会3電子デバイス産業における高齢者雇用推進ガイドライン 〜シニア期の〝使えるスキル〞発見研修プログラム開発手順〜一般社団法人 日本電子デバイス産業協会連絡先:東京都千代田区神田佐久間町 竹内ビル202TEL:03―5823―4465FAX:03―5823―4475HP:http://www.nedia.or.jp/※ レガシー分野……新技術が登場したため、相対的に古くなった分野のこと

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