エルダー2020年3月号
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特別企画エルダー53「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」のご紹介添乗サービス業界で働く添乗員の年齢構成は、2005(平成17)年度時点で30代までが76・8%と若手が主軸であったが、2018年度になると40代以上が73・6%と上昇し、とりわけ50歳以上が主力となり、業界の中心をになっている。 本ガイドラインは、同業界の会員事業者を対象にしたアンケート調査とインタビュー調査の結果を引用し、シニア添乗員の職域拡大を推進する取組みの手引きとして編へん纂さんされたものである。全編を通しイラストを効果的に使い、読みやすくまとめられた一冊になっている。「Ⅰ 添乗員の高齢化の様子とシニア添乗員の積極的活用のための着眼点」では、急速に高齢化が進む添乗サービス業の高齢化の状況をデータで確認するとともに、派遣会社のシニア添乗員に対する期待などのほか、プレシニア添乗員ならびにシニア添乗員から見た業界の現状などを紹介している。また、シニア添乗員は添乗稼働量が低下しがちであるものの、彼らが持つ経験・知識を最大限に活かし、労働力の有効化を図るための職域拡大の推進について着目し、シニア添乗員の職域拡大に関する、旅行会社や派遣会社の声を紹介している。「Ⅱ シニア添乗員の職域拡大を目指して」では、職域拡大を推進する際に求められるスタンスや留意する点、必要な取組みについて5テーマに分けて解説している。「1.シニア添乗員の活躍が期待できる職域の例を見てみましょう」では、添乗以外の職域例として、⑴MICE※サポート業務、⑵インバウンド業務、⑶地域創生事業のサポート業務、⑷旅行会社での内勤業務、⑸旅行会社の店舗等での顧客対応業務、を取り上げている。「2.シニア添乗員の職域拡大を推進するための着眼点」では、「メイン顧客である旅行会社の組織図と業務内容を把握する」、「派遣先の人材ニーズを的確にとらえる」など、職域拡大を推進する際に、派遣会社はどのようなスタンスが必要なのか、着眼点を示唆している。「3.シニア添乗員の職域拡大に役立つ資格やスキルとは」では、観光案内通訳士などの資格や、パソコン操作・入力といったスキルなど、職域拡大に役立つ具体例を上げている。「4.シニア添乗員の職域拡大の成功事例を積極的に発信しましょう」では、その成功事例を豊富に用意し、社内および添乗員に発信することが重要だと説明している。「5.従業員への面談内容をより充実させましょう」では、高齢化する添乗員の戦力化に向けた面談の進め方のポイントを整理している。また、最後に掲載されている資料編は二つに分かれており、「資料編①」では、職域に求められる能力やスキル、当人の現状の能力・知識のレベルの充足度合いが点検できる「チェックリスト例」を紹介。各社の事情に応じて職域ごとに改善活用しやすいリストになっている。「資料編②」では、当機構の活動内容がまとめられ、高齢者雇用に関するさまざまな企業支援について、活用を呼びかけている。一般社団法人 日本添乗サービス協会4添乗サービス業高齢者雇用推進ガイドライン 〜シニア添乗員の職域拡大を目指して〜一般社団法人 日本添乗サービス協会連絡先:東京都港区芝1―10―11 コスモ金杉橋ビル6階TEL:03―6435―1508FAX:03―6435―1509HP:http://www.tcsa.or.jp/※ MICE……「Meeting(会議、研修)」、「Incentive tour(招待旅行)」、「ConferenceまたはConvention(学術会議、国際会議)」、「ExhibitionまたはEvent(展示会、イベント)」の頭文字を合わせた言葉。ビジネストラベルの一つの形態

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