エルダー2020年3月号
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55エルダー※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します企業が抱える課題を克服するために必要な働き方改革の実践を紹介中堅・中小企業のための働き方改革実践40新しい人事労務管理 第6版佐藤博ひろ樹き、藤村博ひろ之ゆき、八や代しろ充あつ史し 著/有ゆう斐ひ閣かく/2100円+税浅あさ香か博ひろ胡き、白しら石いし多た賀か子こ、山田晴はる男お 著/日本生産性本部生産性労働情報センター/1500円+税混こん沌とんとする経営環境のなかにあって、中小企業は、人材の確保と定着、技術力の維持向上、新規事業の創出など、さまざまな課題に直面している。中小企業がそうした課題を克服するためのキーワードは「人の力」。「人の力」を最大限に発揮させるためには、働き方改革の実践も重要な要素となるだろう。本書は、働き方改革の実践が企業にとっての好機になるととらえている3人の著者が、経営者や人事労務担当者に向けて、法令改正に対応するだけの対症療法的な取組みにとどまることなく、「人の力」を最大限発揮させるような、働き方改革の実践をまとめた一冊である。40の実践はそれぞれ実状を反映したものであり、労働時間の削減と業務の効率化、社員の定着と活躍の促進など幅が広い。例えば、「人生100年時代の高齢者の活用」(第24話)では、シニア対象の意識調査結果や企業の取組み事例をもとに、従来の再雇用制度の見直しと高齢者の戦力化に向けた取組みが急務となっている現状を指摘しながら、企業で高齢者に活躍してもらうためのポイントをわかりやすく示している。通読することに加えて、必要に応じて参照しても役立つ好著である。1999(平成11)年の刊行以来、人事労務管理論をはじめて学ぼうとする人向けの入門書として好評を博してきた書籍の最新版が刊行された。働き方改革の時代を迎え、企業の人事労務管理に影響を与える労働市場や働く人たちの就業意識の変化、さらには労働法の改正内容の反映など、2015年以降の新たな情報が過不足なく盛り込まれた。入門書として版を重ねてきただけあって、日本企業の人事労務管理の実態をふまえつつ、その基本的な考え方や機能がわかりやすく整理・解説されているところに本書の特徴があるといえるだろう。本書全体は、「企業経営と人事労務管理」、「雇用管理」、「職能資格制度と職務等級制度」、「賃金管理」など11の章からなり、さらに各章ごとに「キーワード」、「演習問題」、「文献ガイド」などが用意されているので、初学者でも人事労務管理論が効果的に学べるだろう。さらに、「副業」や「健康経営」といった最新の話題は、「コラム」を設けて取り上げられており、読者の理解をより深める手助けとなっている。人事労務担当者のみならず、管理監督者が一読することで、日常業務遂行の際に必要な知識を身につけることができるだろう。働き方改革時代に求められる知識を過不足なく提示

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