エルダー2020年4月号
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2020.414両社とも、女性の活躍に向けて充実した支援策を実施金崎 損保ジャパンさんでは、中高年期の女性の状況や支援策はどのようになっていますか。吉池 当社は社員が2万6000人ほどいて、6割が女性です。20年前は男性6割、女性4割でしたが、割合が逆転しました。いまのボリュームゾーンは、男性(グローバル職員)は50代です。女性(ワイドエリア職員、エリア職員)は30代ですが、十数年もすればその人たちが50代になりますので、これからの課題の一つになるのではと認識しています。 女性活躍支援の取組みでは、2003(平成15)年に、大手金融機関で初めて女性活躍の推進部署を設けました。働きやすさを高めるだけでなく、やりがいを創出するため、キャリアアップに向けた女性専用の研修にも力を入れてきました。 中高年のキャリア支援は、女性に限定せず、①人事制度、②職務開発、③研修の3本柱で取り組んでいます。研修では、従業員一人ひとりの自立をうながすため、日常から離れてしっかりと自分と向き合う内容としています。金崎 ポーラさんはいかがでしょうか。多くの女性が活躍されているので、長年の蓄積がありそうですね。松場 全国には、約4万1000人のビューティーディレクター(旧ポーラレディ)がいますが、彼女たちは個人事業主ですので、本日は、当社の社員1557人についてお話しさせていただきます。当社は化粧品会社ということもあり、女性社員が約7割を占めています。20代から50代まではあまり女性比率が変わらず、女性が各世代にまんべんなくいるなか、どのように仕事に楽しさを見出しながら活躍してもらうかを課題としてとらえています。 女性活躍については、①人事制度の整備、②その制度をきちんと使っていける環境や場を設けるバックアップ体制、③キーになる上長の意識改革の三つの領域を大事にしています。価値観が多様化するなか、制約があってもなくても、すべての人が活躍できる環境や組織風土を築くためです。研修も、女性に特化したものではなく、みんなが活躍できることを目ざしています。昇格のタイミングで先を見たキャリアを考えたり、次世代リーダーとして内省をうながす研修など、さまざまなものがあります。結婚や育児を理由とする女性の退職は激減金崎 損保ジャパンさんの場合、先ほどのお話 40代と50代に分けて見ると、50代の女性は、今後も勤続したいという意向に男性と差がないのに対し、40代では勤続の意向に男女でやや開きがありました。ちょうど介護などいろいろなことが起こる時期なので、50歳前後で多少、壁があるのかなと感じました。 また、近年は、企業の女性活躍支援が充実してきましたが、高齢期の女性への支援は手薄です。今回の調査では、人事制度に対する評価をたずねていますが、満足度が低かったのが、人材育成や能力開発、キャリア相談です。会社を離れるゴールの年齢が先に延びていくなか、いまの40〜50代と昔の40〜50代とは位置づけが異なりますので、今後、研修やキャリア相談の充実が課題になってくるかもしれません。金崎幸子氏 (キャリアコンサルタント、産業カウンセラー)

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