エルダー2020年4月号
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特集中高年期の女性社員の仕事意識と企業の支援エルダー15のように30代がボリュームゾーンになっているとのことです。対照的にポーラさんは、20代から50代まで女性比率が変わらないということですが、どこかの世代で離職率が高くなるような傾向はあるのでしょうか。松場 世間と比べて離職率は低いと思いますが、男女問わず、20〜30代のハイパフォーマーの離職が比較的多くなっています。理由はさまざまですが、「やりたいことがあるから」というポジティブな退職が多い印象です。金崎 昔、女性は制約要因(出産、育児など)で辞める人が多かったものですが、そうではないのですね。損保ジャパンさんはいかがですか。吉池 当社も同じような理由で離職する若手が一定数はいると思います。一方で、ライフイベントを理由とする退職は圧倒的に少なくなりました。産休・育休から復帰して時短勤務をし、落ち着いたらまたフルタイムに戻るなど、制度の柔軟性が高まった結果だと思います。金崎 両社とも、進んだ取組みをしてきた会社だからこそですね。配偶者の転勤による退職などもありますか。佐藤 ないわけではありませんが、弊社はそれほど規模が大きい会社ではないので、できるだけ寄り添いたいと考えており、転居先に異動できるかなどを個別に検討しています。吉池 かつては、配偶者の転勤により辞めざるを得ない時代もありましたが、いまは「キャリア・トランスファー制度※1」という新しい場所で働き続けることができる制度があります。エリア、グローバルなどの区分★の転換も、以前より柔軟にできるようにしました。金崎 現在のように先のゴールが伸びていく時代は、コースを転換できる仕組みが必要ですね。女性が活き活きと働く状態を日常にすることが大切金崎 調査では、キャリア支援への満足度が予想以上に低く驚きました。働く側のニーズも多様化していますが、そうした声をすくい上げる相談窓口などの仕組みはありますか。吉池 2018年に、人事部内に「ワーク・ライフ応援デスク」という、育児・介護・健康・復職・セカンドキャリアの問い合わせにワンストップで対応する窓口を設けました。社内イントラネットで本人がワンクリックすれば調べられる仕組みをつくり、そのうえで、相談もできるようにしています。現場で上司がサポートして解決できるものと制度が絡むものがありますので、上司と人事の両方でサポートします。松場 仕組みとしてはありませんが、1500人超ほどの会社ですので、人事からは一人ひとりの顔が見えています。日ごろからアンテナを張り、可能なかぎり個別に対応しています。佐藤 また、年1回、全社員の「意向調査」を行っており、それを基に上長と面談して把握するようにしています。上長によるマネジメントのあり方が重要になりますので、ここ数年は、マネジメントの意識改革に注力しています。上長との面談を通して、自然とキャリアの意向が伝わってくるようなコミュニケーションをとること―日々の関係、日常の環境を整えることを大事にしています。 先ほどご紹介いただいた調査の、「40〜50代の女性は、先輩方が継続雇用されていると継続雇用を希望する」という結果にとても納得しました。やはり、〝活き活き働く女性〞をいかに※1  キャリア・トランスファー制度……本来転居をともなう転勤のない社員でも、配偶者の転勤や家族の介護など、やむをえない理由で転居することになった場合、一定の条件を満たせば、勤務地を変更して仕事を続けることができる制度★ 区分については、19頁を参照吉池玲子氏(損害保険ジャパン株式会社 人事部ダイバーシティ推進グループ 業務課長)

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