エルダー2020年4月号
18/68

2020.416日常的なものにしていくかが肝きもだと思います。吉池 本当にその通りですね。一番大切なのは日常です。上長との日々の会話のなかなどで、自分のキャリアを考えてもらうことが大切です。当社はいま、マネジメントスタイルの転換を進めていて、昔ながらの上意下達ではなく、サーバントリーダーシップ※2により部下と対話しながら背中を押せるように、2018年に「対話支援型マネジメント研修」をスタートしました。そこでリーダーシップやコーチングのスキルを学んでもらい、日常のなかで背中を押していけるようなベースを築いています。後輩の相談に乗ってくれる女性の先輩はいるか金崎 損保ジャパンさんでは、上長の立場に就く人は、まだまだ女性よりも男性が多いですよね。男性の上長は、女性の部下からのキャリア相談にどのように対応されていますか。私自身の経験では、本音で聞きたいときは女性の先輩に相談していた記憶がありますが。吉池 たしかに上長は男性が多いですが、私自身も含めて、日常的な相談は男女を意識せず行われていると思います。 また、各部署のエリアチーフにはベテランの女性が多く、そういう人が相談に乗ることも多いですね。当社では現在、組織のなかに小さなチームを設ける「チーム制」を推進しており、そのチームリーダーに女性が増えてきています。権限移譲をして若いうちにマネジメントを経験させ、課長などを目ざしてもらうねらいもあります。金崎 継続雇用の年上の女性が40〜50代の女性の相談に乗ることは、日常的にあるのですか。吉池 そういう方もいらっしゃいますが、まだまだ人数は少ないので、チームリーダーの女性などが相談したいときは、基本的には上長に相談します。そうはいっても女性に相談したいという場合は、身近にいる他部署の女性管理職に相談することもあります。 問題は、首都圏であればそれが可能ですが、地方では、相談できる先輩が少ないことがあります。そこで、社内で活躍している人の動画を配信する「ロールモデルチャンネル」を展開しています。先日は、そこに登場する先輩に話を聞きたい人を募集し、テレビ会議を使って対話する機会を設けました。金崎 大企業ならではの取組みですね。ポーラさんはいかがですか。佐藤 多くの部署に「この部署にこの人あり」という人がいます。定年後は、責任を少し軽くしつつ、基本的にはいままでしていた仕事を継続することが多いのですが、そういう人が、豊富な経験を活かして対応してくれています。俯ふ瞰かんした視点でものごとを見ながら、「キャリアのことで悩んでいる人がいる」といった情報を伝えてくれるので、私たちにとっても貴重な存在です。金崎 継続雇用者が増えてくると、単にそれまでの仕事を継続するだけでなく、何か役割を果たせるとよいと思っています。調査では、全体的に継続雇用者に対する現役からの評価が厳しい傾向があり、コミュニケーションの取りづらさやモチベーションの問題を感じている回答が多く見られました。それに対して、継続雇用者が現役にアピールできるような役割を果たせるのは、意味があることだと思います。※2 サーバントリーダーシップ……「相手(部下)に奉仕し、相手を導く」という哲学に基づくリーダーシップ佐藤幸子氏 (株式会社ポーラ 経営企画部 CSR・秘書チーム チームリーダー)

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る