エルダー2020年4月号
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特集中高年期の女性社員の仕事意識と企業の支援エルダー17吉池 当社では、公募ポストに自ら応募する「ジョブチャレンジ制度」に、再雇用者向けのポストを追加しました。再雇用後はいままでの仕事を継続される方が多いですが、自分の意思で新たな仕事をやってもらうのもよいと思います。ご本人も活き活きと働けますし、職場のメンバーにもよい影響を与えるはずです。働くことの意味ややりがいを認識させる佐藤 私見ですが、男性よりも女性のほうが、「働く」という選択肢を自分で選び取っている意識が強いと思います。だから、「何のために働いているか」ということを認識できていないと、自分のキャリアや会社に対して不満を抱きやすい。女性はいくつになっても、モチベーションマネジメントがキーになると思います。金崎 調査でも、仕事のやりがいと会社への定着意識とのつながりが深いことがわかりました。働く意味を認識してもらう施策はありますか。佐藤 女性だけを対象としたものはありませんが、目標評価の面談などで、上長とのかかわりを増やしています。松場 「インナーブランディング※3」にも力を入れていて、会社がどうありたいか、それに対して自分がどうありたいかを考える機会を増やしています。「この会社で自分が何をしたいか」ということがわかると、自然と仕事のやりがいが高まるはずです。「この人がこんな思いを持っている」ということを紹介する取組みなども始めました。佐藤 ただ与えられた仕事をするのではなく、「そもそも何のために働くのか」というところを考えて行動していける組織や個人でないと、戦っていけない時代にきていると思います。現在当社では、「S(センス)&I(イノベーション)活動」を展開しており、ワークショップや表彰、研修など、年間を通じていろいろな機会をつくっています。部内会議でも、S&Iの観点を入れて、「そもそも自分たちの仕事は」とフランクに話し合う時間を設けています。松場 こうした活動をすると、若手だけでなく、中高年も意識が変わります。50代後半以降の定年が見えてきている方でも、新しいことに挑戦する人が出てきています。佐藤 中高年のそういう気持ちは、私利私欲ではなく、みんなのため、後進のためなので、若手や中堅にもよい刺激になります。金崎 そうやって若い人と中高年を組み合わせるのも大事ですね。吉池 あらゆる機会を通じて展開されているのはすばらしいですね。当社では今年に入り、「企業文化を変える、価値基準を変える」というメッセージを経営から打ち出しました。それを受けて、行動指針などをまとめた『Sスピリットpirit』という冊子を使い、各職場で自分たちに何ができるかを話し合ってもらったり、研修をしています。中高年も若手も関係なく、世代を超えたこうした取組みが社内に浸透するよう、地道に働きかけを行っています。高齢者のモチベーションに悩むマネジメント層のサポートを金崎 部課長の悩みとして、高齢の社員とのコミュニケーションの問題はありますか。吉池 「モチベーションが下がっているベテランが自分のチームにいるが、どうしたらいいか」※3 インナーブランディング……企業が企業理念や企業価値を、従業員に対して理解・浸透させること松場裕子氏 (株式会社ポーラ 人事戦略部 ヒューマンバリューチーム チームリーダー)

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