エルダー2020年4月号
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2020.418といった悩みがときどき聞こえてきます。ただ、特効薬はなく、コミュニケーションがベースになるのではないかと考えます。佐藤 諦あきらめずにコニュニケーションを続け、役割期待を伝えていくしかないですよね。これからのマネジメント層は、多様なメンバーをまとめていかなければならないのでたいへんです。若手が、そういった状況を見てしまうと、キャリアアップに対しネガティブになってしまいますので、マネジメント層のサポートは急務です。松場 社員の価値観も多様化しており、自分が受けてきていないマネジメントスタイルを求められることになるので、マネジメント層向けの働きかけは重要であると感じています。吉池 先ほども話に出たように、目ざす企業文化を伝えていくこと、そして人材育成が重要ですね。マネジャーだけにマネジメントスキルを身につけさせるのではなく、メンバーが自律し、成長することも忘れてはなりません。他社へのメッセージ/今後の展望金崎 今回はフロントランナーの2社にお話をうかがいましたが、これから中高年期の女性の活躍推進に取り組む中小企業は、どんなことから手をつければよいでしょうか。佐藤 小規模の企業は、機動力があってうらやましい面もあります。ただ、当社もそうですが、場当たり的な対処になりがちなので、中長期的な視点を持ったストーリーづくりを心がけることが大切だと思います。その際は、経営陣との対話が重要です。人事が出すメッセージに対して、トップがちょっとでも違うことをいうと、社員が迷ってしまいます。松場 戦略によって整備する制度の優先度も変わってきます。戦略があると制度も考えやすいので、経営陣との対話は欠かせませんね。吉池 そこが大切ですね。経営陣との目線合わせができたら、その先は、できるところからやっていけばよいと思います。できることはどんどん取り入れて、ダメだったらまた考えればいい。松場 私は10年以上システム部門にいて、そこから人事部に異動してきましたが、視野は以前よりもはるかに広がりました。いろいろな経験をすると、自分のキャリアを考える視点が増えます。ジョブローテーションはキャリア形成にとても有益で、当社でも、積極的に行っています。吉池 私はもともと営業現場にいて、地区の人材育成の仕事もしていました。その経験を活かしていきたいという思いがかない、人材育成のグループに配属されたのですが、この分野は私が想像していたよりもずっと奥が深い。これは、私が人事部に来たからこそ知ることができたことです。当初はとまどいもありましたが、自分の成長につながっていると思います。金崎 今回の調査では、意外にも男性よりも女性のほうがゼネラリスト志向が強い結果も出ています。女性の活躍の場を広げる意味でも、ジョブローテーションを恐れないでほしいですね。佐藤 いろいろな部署で女性が活躍できるようになるといいですね。当社は女性社員の職域拡大が進んできましたが、まだ女性社員のいるジャンルは偏っています。転勤が多い営業系は男性が多いですし、逆に、商品開発は女性社員が多い。解決のためには、会社の方向性としてダイバーシティを打ち出し、徹底していくしかないと考えています。一つの施策だけでかなうものではないので、研修やeラーニングなど、多様なコミュニケーションを活用して取り組んでいきます。金崎 今日は、人事の立場からのお話をうかがってきましたが、そこにはご自身の経験も活きており、たいへん感銘を受けました。ぜひ読者のみなさんにも参考にしていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

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