エルダー2020年4月号
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特集中高年期の女性社員の仕事意識と企業の支援エルダー19日本を代表する大手損害保険会社人員構成の変化とともに女性活躍も加速損害保険ジャパン株式会社は、1888(明治21)年に創業。日本を代表する損害保険会社の一つとして地位を築いてきた。2014(平成26)年に旧損保ジャパンと日本興亜損保が合併して損保ジャパン日本興亜となり、今年4月に現社名に変更。SОMPОグループの中核会社として、価値ある商品・サービスを創造し続け、社会に貢献していくことを目ざしている。社員数は約2万6000人。女性比率が6割を超えるが、20年前には、逆に男性が6割を占めていたという。この20年で大きく人員構成が変わり、女性社員の活躍が進んできた。社員は、働く地域(転居転勤の有無・範囲)に応じて、グローバル職員、ワイドエリア職員、エリア職員の3区分に分かれる。グローバル職員は大半が男性であるのに対し、転勤範囲が限定されるワイドエリア職員とエリア職員はほぼ女性である。いまのボリュームゾーンは、男性(グローバル職員)は50代、女性(ワイドエリア職員、エリア職員)は30代だが、今後30~40代の年齢が上がってくることで、中高年期の女性社員の人数・割合が増加していくことが見込まれる。定年は60歳。その後は、1年ごとの契約更新で65歳まで再雇用されるのに加え、2018年には、再雇用満了者の一部を最長70歳まで雇用する「再雇用延長制度」を導入した。働きやすさから働きがい、さらには全社員の働き方改革へ同社は、2003年に大手金融機関初の女性活躍推進部署、「女性いきいき推進グループ」を設置。いち早く、女性社員の活躍支援に向けた取組みをスタートした。人事部ダイバーシティ推進グループ主査ライフデザインチームの立花一かず元もと氏は、「女性の活躍支援にかぎらず、当社は先進的な取組みに積極的な会社です。当時は男性社員のほうが多く、社会全体としても男性優位の傾向がありましたが、女性社員に活躍してもらわないと会社の成長はないととらえ、経営戦略としてダイバーシティの推進に取り組んできました」とふり返る。これまでの女性活躍推進の取組みは、大きく以下の三つのフェーズで進んできた。①働きやすさの推進(2003年~)そもそも仕事と家庭を両立できる制度面のサポートがないと、なんとか働くことはできても、活き活き働くことはできない。そこで、まずは両立支援制度の充実を図った。例えば、「キャリア・トランスファー制度」。エリア職員やワイドエリア職員が家庭の事情などで転居しなけ企業事例①女性社員の自律的な成長意欲を引き出しキャリア形成を後押しする手厚いサポート損害保険ジャパン株式会社(東京都新宿区)

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