エルダー2020年4月号
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2020.420ればならない場合、転居先にポストがあり、会社の承認が得られれば、その地域で働くことができる。育児に関しては、育児短時間勤務を導入。子どもが小学3年生になるまで、勤務時間を短縮して働くことができる。介護についても、休暇制度や短時間勤務制度を整備し、事情を抱えていても働き続けられる仕組みを整えた。「かつては、女性の先輩たちは、結婚や出産で退職していましたが、いまはこれらのライフイベントを理由に辞める人は少なくなりました。働き続けられる制度ができ、実際に使えるようになってきたからだと思います」と、人事部ダイバーシティ推進グループ業務課長の吉池玲子氏は説明する。②働きがいの向上(2010年ごろ~)働き続けられる環境を整えた後は、女性社員のキャリアアップを後押しし、管理職や役員を目ざして成長してもらう取組みを強化した。2010年にコース別人事制度を改定。以前は、いわゆる総合職と一般職のような分け方だったが、職務範囲を一本化するとともに、昇進の上限も撤廃した。エリア職員でも役員や部長になれるようにすることで、勤務地限定で働く女性社員のチャレンジ意欲を引き出した。こうした制度改定とあわせて、女性社員のキャリアアップを後押しする研修も整備した。女性管理職が部長や経営層を目ざす「女性経営プログラム」、マネジメント層を育てる「女性リーダー塾」という二つの選抜型プログラムと、一般的に女性がライフイベントの変化を迎えるといわれている28歳の女性社員全員を対象とするキャリア研修「みらい塾28」である。女性社員の多くは特定の地域で仕事をしてきており、男性社員と比べて経験が少なく、またライフイベントの影響も受けやすい傾向にあることから、女性社員に限定したキャリアアップを後押しする機会が必要であると判断した。また、女性社員の場合、働く環境によっては、身近にロールモデルとなる同性の先輩や一緒にキャリアアップを目ざす仲間がいないこともある。そうした人のネットワークづくりに活かしてもらうことも大きなねらいだ。また、社内イントラネットに、社内で活躍しているさまざまな人を動画で紹介する「ロールモデルチャンネル」を開設した。組織の面では、少人数のチーム制を導入。課支社の統合によって1人の管理職がマネジメントする組織が大きくなったこともあり、近年は部署を複数のチームに分け、チームリーダーを置くようにしている。チームリーダーの役割を女性社員にも任せ、権限移譲をしてマネジメントを経験させつつ、上司が対話を通じて成長を支援している。自ら希望のポストに応募する「ジョブ・チャレンジ制度」も導入している。③ワークスタイルイノベーション(2015年ごろ~)現在は、女性社員だけでなく全社員の働き方改革を進めている。テレワークやシフト勤務により、だれもが多様で柔軟な働き方ができるようになれば、結果として、女性社員や高齢社員も活躍しやすくなる。また、トップダウンによる管理職の意識改革にも力を入れている。組織を牽引するマネジメントの意識が変わらないと、女性社員の活躍も働き方改革も進まないためだ。社長が部店長に自らの思いを直接伝える会立花一元氏と吉池玲子氏

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