エルダー2020年4月号
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2020.422女性社員の社会進出を支えてきた女性活躍支援の先駆的企業株式会社ポーラは、1929(昭和4)年創業。美と健康をテーマに働く女性を応援する化粧品メーカーである。男性セールスマンが一般的だった時代に始まった「ポーラレディ」による訪問販売は、女性の社会進出を進める独自の施策として広く知られている。近年は、人々のライフスタイルの変化に対応し、訪問販売から、エステサービスとカウンセリング、化粧品販売を融合した「ポーラ ザ ビューティー」 をはじめとする店舗への誘客型販売へと軸足を移している。長年親しまれてきた「ポーラレディ」も、現在は「ビューティーディレクター」と名称を改めた。ビューティーディレクターは、同社と密接な協力関係にある独立した個人事業主で、全国に約4万1000人いる。一方で、同社が直接雇用する従業員は1557人(2020︿令和2﹀年3月現在)。化粧品会社ということもあり、女性社員が約7割を占める。女性比率は、20代から50代まで、あまりボリュームが変わらない。女性は男性と比べると勤続年数が短いが、これは業界特性によるもの。美容部員は各社を経験しながらキャリアアップする人が多いためであり、同じ本部勤務で比較すると男女差はあまりない。定年は60歳で、その後は再雇用としており、定年到達者の約9割が再雇用を希望。現在は66人が在籍し、男女比はほぼ半々であるが、2018(平成30)年に従来の定年後再雇用制度を改定し、年齢上限を撤廃。六つのコースを用意し、意欲と能力の高い社員が年齢に関係なく活躍できるようにしている(コースによっては年齢の上限あり)。女性社員があたり前に働き続け成長していくことができる同社にも、かつては、女性社員が結婚や出産で退職する傾向があったが、2000年代以降、仕事とライフイベントの両立のための支援策の整備が進み、ライフイベントを理由とする退職は大幅に減少した。「昔は育児時短制度がなく、復帰後はフルタイムで働くしか選択肢がありませんでしたが、制度を整えたことで、復帰率は100%になりました。一方、復帰後のキャリアを考え、育休期間は最長3年から2年に短縮し、早く戻ってくる人への職場復帰サポート手当も創設しました。育休に入る前と復帰前には上司も同席する面談をしたり、復帰後のキャリアを考える研修をするなど、ただ働き続けられるというのではなく、意志を持って活躍してもらいたいという思いでサポートしています」と、企業事例②女性社員があたり前に活躍できる環境を整備近年は異動による経験の付与を強化株式会社ポーラ(東京都品川区)

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