エルダー2020年4月号
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特集中高年期の女性社員の仕事意識と企業の支援エルダー23人事戦略部ヒューマンバリューチーム チームリーダーの松場裕子氏は説明する。近年は、働き方改革に力を入れており、フレックスタイム制や時間単位の有給休暇制度、リモートワークなどを導入し、多くの社員が使えるようにすることで、働きやすさもさらに向上している。女性管理職は以前からいたが、社員の女性比率からすると少ない状況だった。しかし、4~5年ほど前から増え出し、現在の女性管理職比率は約3割となっている。管理職や役員の活躍領域は確実に広がっており、今年1月には、同社の歴史で初めて女性社長が就任。役員も、9人のうち3人が女性である。ただし、経営企画部CSR・秘書チーム チームリーダーの佐藤幸子氏によると、「意図的に女性役員・管理職を増やしたわけではなく、女性社員の活躍領域の広がりにともなう、自然発生的な変化といえるでしょう」と話す。管理職の登用にあたって、女性社員が有利になることもないし、女性社員に限定した教育もしていない。「会社によっては、女性管理職を増やすために重点的な取組みを行っているところもあるようですが、当社の場合はそういうフェーズではありません。女性社員だけに教育をすると、むしろ男性社員側から不満が生じかねません」と佐藤氏はいう。かつては、地域限定で働く女性社員を対象にしたキャリアを考えるための研修を行ったこともあるが、「女性だけに限定すべきではない」という声があがり、男女を問わない希望者参加型の研修に切り替えた。このような性別を問わない研修の機会は多く、昇格前後やテーマ別のもの、eラーニングなど、キャリアについて考える機会はたくさんある。シルバー期に向けたライフプランセミナーも行っている。また、2016年には行動評価、コンピテンシーを見直し、上長との定期的な面談に力を入れている。「この3年間でどのコンピテンシーを伸ばしたいか」、「そのために今期は何をするか」などと話し合いながら成長をうながしている。ジョブローテーションを活性化し成長につながる経験を付与同社には、全体の6~7割を占める総合職、地域総合職のほか、専門スキルを活かして活躍するエキスパートコース、百貨店などの美容部員が所属する販売コース、お客様相談室やコールセンターのコミュニケーターコースなど多様なコースがあるが、キャリア意識の変化に応じて、コース転換にチャレンジすることができる。また、近年力を入れているのが、ジョブローテーションだ。「いまの役員や管理職を見ても、複数のジャンルを経験している人のほうが、パフォーマンスが高い傾向があります。経験から得る学びがありますし、タコつぼ型の部署のエンゲージメントやモチベーションの問題も見られましたので、ジョブローテーションを積極的に行っていくことにしました」(佐藤氏)という。毎年1回の意向調査をふまえながら、3年以上同じ部署にいる人を人事でリストアップし、上長に働きかける。「Aさんがいないとダメな松場裕子氏(左)と佐藤幸子氏(右)

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