エルダー2020年4月号
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エルダー39を行うことを心がけています」と仕事に臨む姿勢について話してくれました。尾北社長は「オーナーと話し合って調整することが求められるので、交渉力が必要な仕事です。村上部長はオーナーからの評判も高く、弊社にとって大事な戦力です」と村上さんを高く評価しています。廃校になった小学校を活用した霊芝の一貫生産工場は、村上さんが立ち上げを任され、機械設備、配管設備の設置を一手ににないました。敷地面積4万㎡、建物床面積3千㎡と大規模な施設です。村上さんは、本社がある札幌市から60㎞離れた美唄市に家族と移り住み、立ち上げに従事しました。規模の大きさもさることながら、地元町内会の人々との交渉なども必要な仕事でした。村上さんが心を砕いて交渉にあたったかいがあり、無事に工事を終え、いまも町内会の人々と友好な関係を築いているそうです。「体調管理のため残業はせず、有給休暇を上手に使って体を休ませながら働くようにしています」とのこと。「体が動く間は、80歳までは働きたい。働き方のロールモデルの一つになれたらいいですね」と、今後の抱負を語ってくれました。中川倉そう四し郎ろうさん(69歳)は、同社に58歳のときに転職してきました。1年ほど前から主に積算を担当しています。積算とは設計図や仕様書から材料や数量を算出して、必要な工事費を見積もる業務。予算内で改修させるために、最適な方法やアイデアが求められます。工事が受注できるかどうかを左右する、大きな責任をともなう仕事です。尾北社長は「積算以外にも社内検査や、現場管理者のフォローも担当してもらっています。中川さんのように多くの経験を積んでいると、すべての仕事がこれまでの集大成だと思います。その仕事ぶりをどんどん後進に示してほしい」と話します。中川さんは、同社の業務について「一つとして同じ現場はありません」と話します。一つひとつ異なるニーズや状況に合わせて臨機応変に対応しなくてはならず、それがやりがいになっているのです。「規模の大きさは、実は重要ではなくて、小さくても最新の技術が凝縮された、質の高さを求められる現場もあります。やればやるほどこだわりが生まれる、奥が深い仕事です」と語りながら、ジャンパーの胸ポケットから「設備手帳」を取り出しました。建築設備施工に必要な規格、製品仕様などの情報が記載されたハンドブックで、会社から配付されているものです。出先でもすぐ確認できるよう、いつもポケットに入れて持ち歩いているそうです。「気持ちは、いつまでも新人のまま。毎日成長したいと思いながら仕事をしています」と話す中川さん。仕事に対してとても意欲的で、「競合企業に勝って工事案件を増やしていくためにも、今後はだれもが参考にできるマニュアルづくりに着手しなくてはならない」と、使命感を持っています。そのマニュアルは、中川さんの長年のノウハウを詰め込んだものになりそうです。尾北社長は、「働きやすい環境と働きがいを感じる職場にすることで、1年でも長く働きたいという気持ちを持ってもらいたいと考えています。そのような職場では、仕事の効率が上がり、生産性の向上につながっていると実感しています」と力強く語りました。 (取材・西村玲)積算業務を行う中川倉四郎さん

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