エルダー2020年4月号
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エルダー3とは「成熟した」という意味で、40代後半から60代をイメージしています。 たまたまご縁のあった坂ばん東どう眞ま理り子こ先生(当時、昭和女子大学学長)に相談したら、同大学の現代ビジネス研究所(以下、「ビジ研」)へのお誘いを受け、会社に籍を置きながら、仕事以外の時間を使って、マチュア世代の働く女性のセカンドキャリアをテーマとした調査・研究を始めました。その結果、私と同じような不安を感じている女性が少なくないことがわかり、58歳になる直前に会社を早期退職し、ビジ研の研究に専念することにしました。そして、「研究した成果を社会に還元しなさい」という坂東先生のご助言を受け、2018年12月に株式会社Next Storyを設立し、働く女性のセカンドキャリアを支援する研修事業をスタートさせたのです。―定年前の女性たちはどのようなことに悩んでいるのでしょうか。西村 以前は定年まで働き続ける女性がそもそも少なく、あるいはほんの一部の優秀な、ある意味恵まれた女性たちのみが定年まで働いていましたが、いまは定年退職が女性にとってもあたり前のことになりつつあります。 定年を前にした女性の悩みは、基本的に男性と同じで、「お金は足りるか」、「再就職できるか」、「私に何ができるか」などです。女性は男性より平均余命が長く、半分の人は90歳まで生きるといわれています。お金の心配は大きいですね。 女性の場合は、定年後のことを相談できる先輩が少なく、情報が得られにくいという問題もあります。男性は、長年の会社生活のなかで、先輩・後輩という縦のネットワークが築かれています。これから定年を迎えようとしている世代の女性には、それがありません。私の会社でやろうとしていることは、女性のネットワークづくりです。社内だけではなく、業界や職種が異なる同世代の女性たちと、研修などの機会を通じて交流を深めることで、報システム、マーケティングなど、さまざまな仕事をしてきました。とても楽しく充実した日々でしたが、40代後半あたりから、定年後について不安を感じ始めました。ずっと仕事を生活の中心においてきただけに、仕事のない日々を思うと恐怖に近い感情がありました。 何か見つかるかもしれないと、役職定年を迎えた55歳のとき、「Never too Late!」(遅すぎることはない)というマチュア世代の働く女性のコミュニティを立ち上げ、イベントなどを企画しました。「マチュア」定年後のキャリアについて相談したくても女性には情報源となる先輩が少ない

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