エルダー2020年4月号
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エルダー55告示においては、特別条項の運用について、﹁当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、﹃業務の都合上必要な場合﹄、﹃業務上やむを得ない場合﹄など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められないことに留意しなければならない。﹂としているところです。一方で、今般のコロナウイルス感染症の状況については、36協定の締結当時には想定し得ないものであると考えられるため、例えば、36協定の﹁臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合﹂に、繁忙の理由がコロナウイルス感染症とするものであることが、明記されていなくとも、一般的には、特別条項の理由として認められるものです。なお、現在、特別条項を締結していない事業場においても、法定の手続を踏まえて労使の合意を行うことにより、特別条項付きの36協定を締結することが可能です。36協定の締結の方法等については、こちらをご覧ください。https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdfまた、36協定等作成支援ツールを使えば、労働基準監督署に届出が可能な書面を作成することができます。https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support.htmlQ 新型コロナウイルスの感染の防止や感染者の看護等のために労働者が働く場合、労働基準法第33条第1項の﹁災害その他避けることができない事由によって、臨時の必要がある場合﹂に該当するでしょうか。⒊ 労働基準法第33条の適用ご質問については、新型コロナウイルスに関連した感染症への対策状況、当該労働の緊急性・必要性などを勘案して個別具体的に判断することになりますが、今回の新型コロナウイルスが指定感染症に定められており、一般に急病への対応は、人命・公益の保護の観点から急務と考えられるので、労働基準法第33条第1項の要件に該当し得るものと考えられます。また、例えば、新型コロナウイルスの感染・蔓延を防ぐために必要なマスクや消毒液等を緊急に増産する業務についても、原則として同項の要件に該当するものと考えられます。ただし、労働基準法第33条第1項に基づく時間外・休日労働はあくまで必要な限度の範囲内に限り認められるものですので、 過重労働による健康障害を防止するため、実際の時間外労働時間を 月45時間以内にするなどしていただくことが重要です。また、やむを得ず月に80時間を超える時間外・休日労働を行わせたことにより 疲労の蓄積の認められる労働者に対しては、医師による面接指導などを実施し、適切な事後措置を講じる必要があります。2月1日づけで、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められたことにより、労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が該当する労働者に対して就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなります。使用者におかれましても、感染症法に基づき都道府県知事より入院の勧告を受けた労働者については、入院により就業できないことをご理解いただくとともに、都道府県知事により就業制限がかけられた労働者については、会社に就業させないようにしてください。また、発熱等の風邪症状がみられる労働者については休みやすい環境の整備にご協力をお願いします。なお、感染症法により就業制限を行う場合は、感染症法によることとして、労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業禁止の措置の対象とはしません。Q 労働安全衛生法第68条に⒋ 就業禁止の措置基づく病者の就業禁止の措置を講ずる必要はありますか。

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