エルダー2020年4月号
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2020.456※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します労務行政研究所 編/労務行政/2800円+税岸本裕ゆ紀き子こ 著/集英社(集英社文庫)/500円+税本書は、2015年に刊行され、NHK(BSプレミアム)でドラマ化もされた『定年女子〜これからの仕事、生活、やりたいこと』の第2弾。前著から5年が経過し、著者自身も再雇用を終える年齢となったことから、定年後も働き続ける女性たちに新たにスポットを当て、働くことによって社会とかかわり続けている女性の生き方・働き方がまとめられている。本書で取り上げられている女性は、非常に多様だ。「同じ組織で働き続ける人」もいれば、「新しいことに挑戦する人」、「専業主婦から就職を目ざす人」もいる。登場する女性の話を丹念に読めば、生涯現役で働き続けるためには、働くことに対する本人の強い意志が大切であることがわかるだろう。一般読者向けに企画された書籍なので、本誌の読者にとって、高齢者雇用の現状や課題に言及している部分に目新しい情報は少ないかもしれない。しかし、地道な取材を積み重ねて収録した、高齢期まで働き続ける数多くの女性の声は、高齢女性の就労マインドを知りたい人事労務担当者にとって役に立つことだろう。本誌の連載「生涯現役で働くとは」を楽しみにしている読者にもおすすめしたい。定年女子60を過ぎて働くということ自然災害時の労務管理の実務日本では近年、毎年のように地震や台風、集中豪雨などの自然災害が発生している。また、今年1月には、新型コロナウイルス感染症に対し、WHO(世界保健機関)が「緊急事態」を宣言するという世界規模の非常事態が生じた。本書は、こうした事態への対応について、人事労務面から考えられる危機管理対策をはじめ、自然災害発生時の労務管理、災害に備えた社内体制・事業継続体制の整備、被災労働者の労働保険・社会保険の特例措置など、混乱時における実務対応の要点を、人事労務の視点から解説。想定される危機的事象の見直しから、危機管理対策文書のつくり方、社内外との適切なリスク・コミュニケーションの進め方などを具体的に説き、必要な準備を明らかにしている。また、「災害時対応をめぐる実務Q&A」として、帰宅・通勤が困難な状況下における費用負担や休業手当などに関する留意点、緊急時対応をめぐる労働時間や賃金、そして災害によって負傷した場合の対応など、起こり得る21のケースに対する弁護士の解答を掲載している。緊急時においても冷静に適切な対応ができるよう、人事労務担当者がいま、あらためて押さえておきたい知識や情報が詰まっている。高齢期になっても働き続ける女性の事例が満載緊急時に適切な対応をするために、人事労務担当者の手元に置きたい一冊

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