エルダー2020年4月号
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2020.458EIWLSEニュース ファイル2020.4行政・関係団体 「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」報告書厚生労働省厚生労働省は、「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」(座長:城じょう内ない博ひろし・日本大学理工学部特任教授)の報告書を公表した。60歳以上の雇用が今後一層進むと予測されるなか、労働災害による休業4日以上の死傷者のうち、60歳以上の労働者の占める割合は26%(2018年)と増加傾向にある。こうした状況をふまえ、同有識者会議では、高齢者の身体機能についての長期的な推移や壮年者との比較からわかる特性を整理するとともに、年齢、性別、経験期間が労働災害の発生率に与える影響について分析するほか、高齢者の安全衛生対策に積極的に取り組んでいる企業などの担当者らへのヒアリングを実施。報告書では、高齢者が安全で健康に働ける職場の実現に向けて、事業者、労働者に求められる事項や、国や関係団体等による支援などについて取りまとめている。また、参考資料として企業の取組み事例もまとめている。厚生労働省はこの報告書をふまえ、高年齢労働者の安全と健康の確保に関するガイドラインを策定して普及促進を図り、2020年度から、ガイドラインに沿って高齢者の安全・健康の確保に取り組む中小企業への助成(競争的補助金)を実施することを予定している。報告書は左記のURLからダウンロードできる。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08912.html「パワーハラスメント防止指針」等厚生労働省厚生労働省は、パワーハラスメント防止指針(「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」令和2年厚生労働省告示第5号)を公表した。また、「改正セクシャルハラスメント防止指針」(「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の一部改正」令和2年厚生労働省告示第6号)も公表した。職場におけるパワーハラスメントとは、「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの」と定義されている。パワーハラスメント防止指針は、職場におけるパワーハラスメント対策が大企業は2020(令和2)年6月から、中小企業は2022年4月から義務化されることから、「雇用管理上講ずべき措置等」について、事業主が適切、かつ有効な実施を図るために必要な事項について定めたものである。事業主が講ずべき措置として、「職場におけるパワーハラスメントに関する方針の明確化と、労働者に対するその方針の周知・啓発」、「労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じて適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備」、「パワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応」などを示している。平成30年「若年者雇用実態調査」厚生労働省厚生労働省は、2018(平成30)年「若年者雇用実態調査」の結果をまとめた。この調査は、5人以上の常用労働者を雇用する事業所約1万7000ヵ所と、そこで働く若年労働者(15〜34歳の労働者)約3万人を対象として2018年10月1日現在の状況について実施したもの(前回調査は2013年に実施)。有効回答率は事業所調査で55・3%、個人調査で66・4%。事業所調査の結果によると、全労働者に占める若年労働者の割合は27・3%(前回調査28・6%)で、内訳は若年正社員17・2%、正社員以外の若年労働者10・2%。「若年労働者の定着のための対策を行っている」事業所の割合は、若年正社員72・0%(前回調査70・5%)、正社員以外の若年労働者57・1%(同54・2%)となっている。個人調査の結果から、若年正社員の転職希望について見ると、若年正社員が現在の会社から定年前に「転職したいと思っている」割合は27・6%(前回調査25・7%)、「転職したいと思っていない」割合は33・2%(同32・5%)となっている。これを年齢階級別に見ると、定年前に「転職したいと思っている」は「20〜24歳」層が32・8%とほかの年齢階級と比べて高くなっている。また、現在の会社から定年前に転職したいと思っている若年正社員について、転職しようと思う理由(複数回答)を見ると、「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が56・4%と最も高く、次いで、「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」が46・1%となっている。

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