エルダー2020年4月号
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エルダー63してコツをつかむように指導しているそうだ。洋裁にたずさわる若い世代を増やしたい小嶌さんは現在、全日本洋裁技能協会の専務理事、東京都洋裁技能士会の会長を務めており、技能競技大会の委員や講習会の講師なども担当している。 「人前に出るのは苦手なのですが(笑)、洋裁技能の維持・継承のために一生懸命がんばっています。最近は注文服の存在すら知らない若い世代が増えていますが、自分に合った洋服を着たり、つくったりすることの楽しさを、ぜひ知ってほしい。そして、一人でも多くの若い人たちに洋裁の世界にたずさわってもらえたらうれしいです」アトリエミエコ・小嶌洋裁教室TEL:048(976)0888(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)美しいシルエットを実現するために大事なこととして、アイロン操作による「くせ取り」をあげる。「洋裁は、一枚の布を、どう立体的に見せるかがポイントです。縫い目を増やせば立体的にはなりますが、それほど縫い目をつけるわけにはいきません。そこで、アイロンを使って生地にくせをつけながら、体型に合わせて立体的な形にしていくことが重要になります」ただし、体型に合わせすぎると、その人の欠点がそのまま表れてしまうこともあるため、"加減する"ことも大事だという。「スタイルブックに載っているモデルさんの着ている姿と、お客さまが実際に着た姿とでは、印象は異なります。違和感なく仕上げるために、仮縫いの段階で形を補正したり、できあがってから調整を加えることもあります」洋裁の技能は経験や勘に頼る部分が多く、教室では、小嶌さんの技術を教えつつ、自分なりに工夫生地のブドウ柄を活かすために、シンプルなデザインで製作したコートアイロンによる「くせ取り」で美しいシルエットを表現する展示用に製作した2分の1サイズの見本作品。中央は結婚披露宴のお色直しのドレス注文服の設計図となる型紙(パターン)。着る人の体型に合わせて作成する「2018全日本洋装技能コンクール」に出品した作品。昨年のコンクールでは委員長を務めた令和元年度「卓越した技能者(現代の名工)」の楯

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