エルダー2020年4月号
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特集中高年期の女性社員の仕事意識と企業の支援エルダー7中高年期の女性の働く意識や職業生活設計について調査厚生労働省の「高年齢者の雇用状況」によると、2018(平成30)年6月1日~2019(令和元)年5月31日の1年間に、従業員31人以上の60歳定年企業で定年に到達した女性社員は約11万6000人。人数的には男性の半数弱ですが、継続雇用比率は男性を若干上回ります。これまで、定年前後の高齢者雇用については、多くの場合、男性社員をイメージして論じられてきましたが、今後、いわゆる均等法世代が定年年齢に達することもあり、女性社員が高齢期にも長く活き活きと働ける環境づくりが企業にとって重要課題となりつつあります。このような問題意識のもとに、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、これまであまりデータの蓄積がなかった中高年期の女性社員の、高齢期に向けた意識と職業生活設計に焦点を当てたWEB調査を実施しました※1。本稿では、このうち女性正社員のデータを中心に、企業への定着意識とその背景について紹介していきます。なお、本調査結果の概要については﹃JEED資料シリーズ3 中高年女性のキャリア設計と高齢期の展望﹄に取りまとめていますので、詳しくはそちらをご参照ください※2。中高年期の定着意識は年齢により変化するかまず、中高年期に「現勤務先で定年まで働きたい」と考えている社員はどれくらいの割合なのかということを見てみましょう。本調査では、定年制のある企業における定年までの勤続意向は、40~50代全体として女性では54・8%、男性では58・6%でした。年齢階級別に見ると、女性では40代で勤続意向が5割を切り、男性との差がありますが、50~54歳で約6割、55~59歳で約7割となり、同世代の男性との差がなくなります(図表1)。女性の場合、50歳前後に一つの壁があり、そこを乗り越えると定年までの勤続意向が高まることがうかがえます。さらに、定年まで勤務する意向の人に、定年後も現在の勤務先で働きたいかどうかを聞いたところ、その割合は女性56・2%、男性55・2%と、冒頭で引用した「高年齢者の雇用状況」と同様にわずかに女性の方が高くなっていますが、ほとんど男女差はありません。以下では、この「定年まで現勤務先で働きたいか」および「定年後も現勤務先で働き続けたいか」という二つの質問への回答により女性社※1  「中高年社員のキャリア設計と高齢期の展望に関するWEB調査」:民間企業の40~59歳の社員を対象に2018年1月に実施。正社員調査の回答数は女性4,121人、男性4,181人※2 総 論女性社員の勤続意識とエルダーキャリア〜「中高年社員のキャリア設計と高齢期の展望に関するWEB調査」から〜キャリアコンサルタント 産業カウンセラー  金かな崎ざき 幸ゆき子こJEED 資料シリーズ3検索

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