エルダー2020年6月号
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2020.612中高年社員の活躍をうながすためグループ外の出向先を開拓「大日本住友製薬株式会社」は、1897(明治30)年に設立。「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」を企業理念に掲げ、優れた医薬品を継続的に生み出してきた。従業員数は約6500人(連結)。中高年層は、50歳前後までの各年齢にそれぞれ100人近い人数がおり、当面、60歳定年を迎える社員が増えると予想される。そのため、50代以上のシニア層にどう活躍してもらうかは、人事面の課題の一つといえる。また、役職定年制を設けており、課長職は55歳、部長職は57歳で役職を外れる。中高年社員の活躍をうながす人事施策としては、①自社での再雇用制度(1年ごとの契約更新で最長65歳まで)、②新しい生活設計、転職などを支援する「セカンドライフ支援制度」(45歳以上・勤続15年以上が対象で、資金的な支援あり)、③出向支援施策の三つがある。なかでも特徴的なのが、「出向支援施策」だ。同社は、2008(平成20)年、人材開発支援室(現人事部キャリア開発担当)を設置。グループ外への出向(社外出向)を組織的に行っていくことにした。背景には、中高年層の増加が見込まれていたことがある。同社は、同業他社ほどグループ会社が多くなく、資本関係のない企業にも活躍の場を広げる必要があった。現在、約300人が出向しているが、半数はグループ外の企業で働いている(出向先に転籍した社員は除く)。なお、出向者数のピークは2015年で、近年は大分落ち着いてきている。2015年には1年間で約80人が新たにグループ外に出向したが、近年は年に50人前後となっている。会社を代表できる人に出向いただき「win︲win︲win」の関係を築く同社の社外出向の一番の特徴は、「会社を代表できるような優秀な人材」に出向いただくこと。山崎浩二人事部長は、「他社で活躍できそうにない人を紹介することがないようにしている」と説明する。人事部キャリア開発担当の東條伸一郎オフィサーも、「出向というと、ローパフォーマーに社外に転出していただくというイメージもあるようですが、当社は、経営トップの考えが明確で、当社を代表し活躍できる社員に行っていただきます。本人がその出向を希望していることを大優秀な人材にグループ外に出向いただき「win‐win‐win」の関係を築く大日本住友製薬株式会社︵本社 大阪府大阪市︶事例1

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