エルダー2020年6月号
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2020.620いう思いが強くなり就職活動を始めた。「ハローワークで仕事を探しましたが、高齢者の求人は警備や清掃の仕事ばかりで、これまでの経験を活かした仕事を探してもなかなか見つかりませんでした」と、ふり返る。思うように就職活動が進まない折、知人から企業の顧問のような形で働いているシニアもいると聞いた。そこで今度はWebでいろいろと検索してみたところ、「東京キャリア・トライアル65」のサイトに行き着いたという。「東京キャリア・トライアル65」では、これまでの経験が活かせる事務職、営業職を募集しており、短期間のトライアル就業があるのも安心だった。申込み後は、就業相談に参加し、スキルチェックを行い、その後MAPを紹介された。職場見学のあと、トライアル期間2週間ほどを経て2019年11月に正式に採用されたという。経験や知識・ノウハウを活かし活き活きと働ける職場に現在MAPのWORX事業部でシニアディレクターとして働く平田さんは、週1回、8時間ほどの勤務で、出社する日は主に会議に参加し、プロジェクトの立ち上げ方、運用の仕方、リスクの分析などを伝えている。平田さんは「経験が活かせるなら週に1日でも構わないと思いました」と、出勤日は少ないながらも、仕事の内容に満足している様子だ。また、飯田社長は「先日の打合せも議論が白熱し、有意義なものになりました。平田さんも同じ目標に向かって進む同志で、年齢はまったく関係ないと感じます。経験者ならではの知見はとても心強いです」と話す。平田さんは、謙遜しながら「開発をしているわけではないので、決してむずかしいことを教えているわけではありません。例えるなら、カレーのつくり方を教えているようなもの。必要な具材を揃えて、切って、炒めて、煮込むというように、業務への取り組み方、順番を教えています。失敗しないためのリスク分析を教えることも大切ですね」と説明する。飯田社長は「経験がない私たちにどういったリスクがあるのかを伝えてくれます。こうしたノウハウや、利益の出し方、それを継続するためのスキームを伝授してくれるのはありがたい」と述べ、感謝していた。平田さんは社内で、ビジネスチャットを使って仕事のやりとりを行うこともあるが、いままで使ったことのない新しいツールにも順応しているという。「若い会社なので、自分にとって働きやすい環境を求めるよりも、自分が合わせた方がよいと思っています」と協調性の高さが垣間見える。今後、BPO事業が本格的に立ち上がってくれば、平田さんの勤務日も増える見込みだ。平田さんも「今後は事業を軌道に乗せて出社日を増やしていきたいですね。東京キャリア・トライアル65については、トライアル期間でどのような環境か、会社と相性がよいかなどが見られてよかった」と話す。飯田社長も「当社の枠にとらわれず、グループ会社も含めて持っているノウハウを伝えてほしい」と大きな期待を寄せていた。WORX事業部シニアディレクターの平田昌望さん

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