エルダー2020年6月号
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特集定年退職後の多様なキャリアを考えるエルダー21定年前後の世代の起業を具体的な形にしてサポート50代、60代の定年前後の世代を対象に起業を支援する、「銀座セカンドライフ株式会社」。起業にあたっての相談から、セミナーや交流会の開催、レンタルオフィスの提供など、多様なメニューにより、「起業前から起業後までワンストップでサポート」を掲げて実践している。代表取締役の片桐実み央お氏は、「起業の相談に来られたみなさんに『やりがいのある仕事を形にして実現しましょう』とお伝えします。定年後のやりがいは人それぞれですが、起業は再就職や再雇用に比べてやりがいを重視できることがメリットです」とシニアの起業支援を語る。同社は、シニアの起業がいまほど注目されていなかった2008(平成20)年7月に設立された。創業のきっかけは、創業者である片桐氏の祖母を思う気持ちだ。片桐氏の祖母は小料理屋を営んでいたが、共働きの両親のもとに生まれた片桐氏の面倒をみるために店を畳んだ。片桐氏は大学卒業後、化学メーカーの法務部に勤めたが、入社して1年後に祖母が認知症を発症。そのとき、祖母が元気なうちに恩返しができなかったことや、「もし小料理屋を続けていたらもっと元気に過ごせていたかもしれない」と悔やみ、この経験から、シニアがセカンドライフを充実して過ごせるような支援がしたいと考え、銀座セカンドライフを創業した。シニアの起業支援を行う会社の先駆けとして片桐氏が一人で立ち上げた同社は、現在は従業員数23人、売上げは毎年前年比1・2倍~2倍の伸びで成長している。起業相談の利用者数は約10年で7千人を超え、レンタルオフィスに登録する会社は5千社に上る。片桐氏は講演活動やメディアの取材対応に多忙を極めるなかで、多数の著書を出版。本誌でも「リーダーズトーク」※1にご登場いただいたほか、連載もご執筆※2いただいた。再雇用で働きながら副業的に起業する人も増える傾向に同社を訪れる起業の相談者は、「以前は定年後2、3年してから、という方が多かったのですが、最近は定年前から起業を検討し、準備をして数年がかりで起業される方が増えています。50代後半の方が最も多いのですが、40代半ばから60代半ばまで幅広く相談に来られます」と片桐氏。男女比では男性が約7割を占める。起業の相談内容にも変化が見られるという。片桐氏は、「定年退職後の起業のほか、再雇用でやりがいを感じる仕事を見出し自分のペースで働ける﹁ゆる起業﹂を支援銀座セカンドライフ株式会社 (東京都中央区)事例3※1 本誌2015年12月号※2 本誌2017年5月号~10月号「人生のベテランだからできる起業入門」

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