エルダー2020年6月号
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2020.622勤め続けながら副業的に起業する、会社勤めと起業の両立を考える方が増えています。会社は週2、3日の勤務にしてそれ以外の日を起業にあてたいといったニーズもあります。再雇用で働き続けることができたとしても、65歳で終わるということに不安を感じて、その前に起業を実現しようと考える方も目立ちます」と話す。少子高齢化が進展し、国は社会の活力を維持することなどを目的に、70歳までの雇用や就業の実現を目ざしており、起業も選択肢の一つとして注目されている。こうした動きについて片桐氏は、「選択肢が増えることはよいことだと思います。2013年に国の成長戦略の一つとして起業支援の強化が掲げられてから行政の起業支援が始まるなど起業しやすい環境が整い、以前より起業を選択しやすくなっているとも思います」という。少ない費用で始められ、自分のペースで働ける小ビジネスを提唱シニアが起業する場合、成否を分けるポイントにはどのようなものがあるのか。片桐氏は、「現役時代より収入が少なくても、やりがいを持ってできるということを成功と考えるならば、私が提唱しているのは、少ない費用で始められ、自分のペースで働ける『ゆる起業』という小ビジネスです。小ビジネスでも人と会う機会が増えて刺激がもらえる、感謝されて嬉しいなどの声があり、仕事に対するやりがいが感じられます。そういったことが大切ではないかと思っています。大きく投資すると回収に時間がかかるので、少なく投資して早めに黒字にして安定した事業運営をすることがポイントになると思います」と語る。早めに黒字にするためには、「経験」と「人脈」を活かす仕事で起業することもポイントになるという。また、「現在は行政、民間ともに数多くの起業支援機関があります。まずは無料の起業セミナーに参加したり、起業相談に行くことをおすすめします。1カ所だけでなく、数カ所の機関に行ってみてください。相談員との相性もありますし、支援してくれる人が事業アイデアのファンになってくれたり、つながりをつくることができれば、後々も情報を提供してくれるなど何かとフォローをしてくれるはずです」と続ける。銀座セカンドライフには、「起業はしたいがやりたいことが定まらない」という相談者も多い。そこで、アイデアを探す方法として、相談者のやりたくないことを除き、できることを探して、そこに「お金になる」という分析を加えてビジネスの選択肢を示していくそうだ。すると、「そんなビジネスがあるんですね」と相談者が驚くことがあるという。片桐氏は「小ビジネスの世界には、人と人の間に入って成り立つような仕事がたくさんあります」と指摘。小さくとも多様な可能性がそこにはあるという。では、シニア起業を目ざす場合、いつごろから準備を始めることが望ましいのだろう。「早い方は3年ほど前から情報収集や人脈づくりを始めています。起業したい事業の関係団体に入ったり、資格の取得に励んだりして、その後1年ほど前から事業計画書や設立準備に取りかかる方が多いようです」と片桐氏。起業にあたっては助成金の活用や、「かなが銀座セカンドライフ代表取締役の片桐実央氏

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