エルダー2020年6月号
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エルダー29FOOD日本史にみる長寿食食文化史研究家● 永山久夫アスパラガスは長寿野菜「おーアスペルケー!」アスパラガスは、古代エジプトで栽培が始まり、ヨーロッパに広がっていった野菜で、日本には江戸時代、オランダ人によって伝えられました。当時の名前はオランダ語の「アスペルケー」で、日本名は「西洋うど」でした。といっても、当初は食用というよりは観賞用。株を庭などに植え、「おーアスペルケー!」と呼んだりして、その成長の速さを楽しんでいたようです。本格的な食用種は、明治の初めころ、北海道開拓使によって輸入されてから栽培が開始されました。アスパラガスの収穫は5月から6月に集中し、主な産地は北海道を中心に長野県や佐賀県、長崎県、熊本県などです。最強の緑黄色野菜アスパラガスには日光を浴びて育つグリーン種と、土をかぶせ軟なん白ぱくさせて育てるホワイト種がありますが、人気があるのは緑黄色野菜としてのグリーン種であるのはいうまでもありません。栄養の豊富な野菜で、ビタミンではB1・B2・B6・葉酸といったB群が多く、さらにカロテン、ビタミンC・Eなども含まれています。注目したいのは葉酸が多いという点です。葉酸には、脳の神経細胞や血管の若さを保つ働きがあり、認知症予防効果も期待されます。葉酸を摂り続けていると、老化による脳の萎縮が抑えられるといわれています。ミネラルでは、カルシウムやカリウムなども含まれているほか、アスパラガスから発見されたことで名前の由来となった「アスパラギン酸」を多く含むのも特徴で、疲労回復やスタミナ強化、さらにはお肌の老化防止などが期待されています。穂先にはルチンという成分も含まれています。血管をしなやかに、丈夫にする効果がありますから、高血圧の予防には最強の緑黄色野菜といってよいでしょう。320※ 57頁で永山久夫氏の最新刊を紹介しています

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