エルダー2020年6月号
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との関連性を基礎づけることに非常に効果的であると考えられます。また、高待遇を用意していること自体も、試用期間における能力を図るにあたって厳しく見ることが許容されるために重要な要素と管理監督者性について1過去の記事においても管理監督者として必要な要素について、紹介したことがありますが※、今回は、裁判例の紹介などをふまえて、具体的にどの程度の権限などが求められることになるのかについて見ていきたいと思います。いえます。加えて、採用時点における期待が具体的に本人に伝わっていたということは、本人に寄せられている期待を認識させることにつながるため、この点も重要でしょう。管理監督者性の判断について、簡単におさらいしておくと、近年の裁判例では、以下の三つの要件の総合考慮によって判断する傾向があります。① 実質的に経営者と一体的な立場にあり、重要な職務、責任、権限が付与されていること② 労働時間の決定について厳格な制限や規制を受けていないこと③ 地位と権限にふさわしい賃金上の待遇を付与されていることまた、これらの要件を考慮したうえで、最終的には、「労働時間規制の枠を超えて就労することを要請されてもやむを得ないような重要な職務と権限を付与されているといえるか否か」という観点から判断されています。裁判例の紹介2横浜地裁平成31年3月26日の裁判例を題材にしたいと思います。事案の概要としては、コーポレートプラン部(ブランドの復活を目ざす部署)のマネージャー職や、マーケティング部のマーケティングマネージャー職に従事していた(なお、これらの職位は課長職相当であった)労働者が、管理監督者としての地位になかったことを前提に、遺族が未払い割増賃金を請求したということです。なお、労働者が執務中に死亡したという事情がありましたので、遺族からの請求となっています。裁判所は、管理監督者としての判断基準について、「①当該労働者が実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職務と責任、権限を付与されているか、②自己の裁量で労働時間を管理することが許容されているか、③給与等に照らし管理監督者としての地位や職責にふさわしい待遇がなされていわゆる企業の「管理職」と、労働基準法上の管理監督者については、かなり大きな乖かい離りがあります。一定の役職以上であることを基準として労働基準法上の管理監督者であると形式的に判断するのではなく、実態をともなう運用を心がける必要があります。A※ 2018年12月号掲載2020.650管理監督者の要件について知りたい当社では、一定の役職以上の労働者については、労働基準法上の管理監督者として取り扱うことを基準として定めています。待遇などについては、基準以上の労働者については、役職手当の支給などにより厚遇しているのですが、何か問題があるでしょうか。Q2

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