エルダー2020年6月号
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2020.652人事用語には、簡単なものから人によって解釈の分かれるもの、一般的な使われ方と人事担当者の使い方が異なるものなどがあり、むずかしく、とっつきにくいという声をよく聞きます。そのような「聞いたことはあるけれど具体的には分かりにくい」用語について、今後6回の連載で解説していきます。一つの用語に対して、意味だけでなく世間の動向や社会的背景、関連する用語まで、なるべくやさしく解説していきます。「人事制度」は「処遇」を決めるルール1回目の用語として取り上げるのは、今後詳細に解説していく一つひとつの用語と切っても切り離せない、人事的な仕組みを総括してさし示すときに使うことが多い「人事制度」についてです。「人事制度」という用語は、人事担当者でもないかぎり「聞いたことはあるけれど詳しくは知らない」、「人事担当者から説明を受けたくらい」という方も多いかもしれません。そのため、「人事制度」といわれても人によっては思い浮かべるものが異なるというのが実際のところでしょう。給料や役職といったような限定的なものから、勤怠管理や有給休暇など労務管理にかかわるものまで、幅広くとらえている方もいるかもしれません。ただし、人事の世界における一般的な使い方としては、「人事制度」とは従業員の「処遇」を決定する仕組みをさします。ここで「処遇」という日常生活では見慣れない用語が出てきます。ただし、人事を語るうえで必ず押さえておきたい用語でもあります。処遇とは「立場を決め、それに相ふさわ応しい対応をすること」をさします。単純な例を出せば、「Aさんには人をまとめる力があるので、人を指揮・指導するような立場で働いてもらおう。その負担や責任は大きいので高い給与を支払おう」と決めるのが〝処遇する〞ということになります。ただし、これらの処遇の決定は社員数が少なければある程度個別に実施できますが、一定数以上になると判断がむずかしくなりますし、不公平も生じてくることになります。そこで処遇を決定するにあたってのルール化、または根拠や基準が必要となります。それが「人事制度」です。処遇を決めるものという目的をそのまま表現して「処遇制度」と呼ばれることもあります。人事制度は「等級」、「評価」、「報酬」で成り立っている会社や組織での処遇を決めるにあたり、重要な機能は三つあります。株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之■■■■■■■■人事用語辞典いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者ならおさえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。第1回「人事制度」新連載

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