エルダー2020年6月号
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エルダー53① 社員をどのような立場・役割にするか、どのレベルの業務をになってもらうかを決める② 立場や役割、業務に対してどのくらいの対価を支払うかを決める③ 立場や役割に相応しい実力を有しているか、業務をしっかり行っているか判断する制度で表すと①は「等級制度」、②は「報酬制度」、③は「評価制度」です(図表)。この連載で今後取り上げる用語に付随して、それぞれ詳しく触れていく予定ですので、ここでは基本的な点を押さえていきたいと思います。①等級制度等級・報酬・評価の制度のなかで、もっとも理解がむずかしいのが等級制度でしょう。先ほど立場や役割、業務レベルを決定すると述べましたが、これを主に二つの仕組みで実現します。「等級」と「役職」です。どちらかというと「役職」の方がわかりやすいと思います。部長や課長など立場を示すもの、簡単にいうと〝偉さ〞を示し、むずかしくいうと権限や裁量の程度を示すものになります。次に「等級」です。求められる役割や、業務に必要な能力を定める区分です。1級・2級など特定の記号で表され、区分ごとに役割や能力の定義が定められています。なお、その役割や業務をになう資格があるという意味で等級は「資格」と呼ばれることもあります。②報酬制度報酬よりも「賃金」という呼び方のほうが、人によってはなじみがあるかもしれません。立場や役割、業務に対しての対価の支払い方について定めるものです。この対価とは「給与」と「賞与」で構成されます。給与は「給料」、「月例給」などとも表現され、毎月支払われるものです。賞与は「ボーナス」という呼び方が一般的かもしれません。多くの会社で年間2〜3回支払われる一時金です。そして、この給与と賞与を合わせて年間で支払われたものを「年収」と呼びます。なお、退職後に支給される「退職金」も報酬制度に含まれます。③評価制度「評価」という用語は日常的に使われているので、もっともわかりやすいかもしれません。処遇と評価の関係でいえば、評価がよければ等級・役職・給与・賞与が上がるチャンスが増えます。ただし、これを経営者や上司の好みで決めてしまうと公平性の観点から問題がありますし、社員のモチベーションにも悪影響をおよぼします。そこで、「評価項目」や「評価基準」というものを定めて、求められていることがどの程度できたか(あるいはできなかったか)を判定していくことになります。これを判定するものとしてよく使われるものが「成果」、「能力」「行動」、「姿勢」などの要素になります。出典:筆者作成図表  人事制度の全体像等級制度報酬制度評価制度●等級、役職●職務・勤務地限定コース、 キャリア別コース●昇格、降格要件●報酬体系●基本給、手当●定期昇給、昇格昇給●賞与●退職金(一時金・年金)等級・役職・コースと連動評価基準や方法と連動評価結果と連動●評価フォーマット●評価基準●評価プロセス●報酬への反映方法■■■■■■■■人事用語辞典いまさら聞けない

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