エルダー2020年6月号
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2020.656※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します德山 誠 著/生産性出版/1800円+税末すえ 啓一郎 著/経団連出版/1600円+税もう不祥事は許さない自分の会社は自分で守れテレワーク導入の法的アプローチトラブル回避の留意点と労務管理のポイント国内における新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大にともない、在宅勤務を含む「テレワーク」が多くの企業で検討、または導入されている。在宅勤務日数を増やす企業や、レンタルオフィスなど、会社から離れた場所での業務遂行を実施する企業も増加しているが、テレワークとひとことでいっても内実はさまざまであり、その理解が人によって異なることが考えられる。厚生労働省が各種ガイドラインを策定しているが、企業が実際に制度として導入するにあたっては、このガイドラインをもとに、さらに具体的な対応の検討が必要となる。本書は、テレワークに関する基本知識を整理し、労働法規の適用を検討したうえで、法律実務家の観点からテレワーク導入によって生じる可能性がある弊害や、労使関係上の問題への対処法、業務体制の整備、社内規定や就業規則の整備なども取り上げ、テレワーク導入を効果的に進める方策を詳細に解説するとともに、テレワークに関する法的な問題も網羅している。テレワークの導入を検討している、あるいは検討を始めたい企業はもちろんのこと、すでに実施している企業の担当者にとっても役立つ、実用的な一冊といえよう。規模の大小や有名・無名を問わず、企業や団体が関わる不祥事が後を絶たない。テレビや新聞でそうしたニュースを目にしても、驚きを感じることが少なくなったようだ。本書は、頻発する企業の不祥事を未然に防ぎ、「自分の会社を守る」ための方策を示した入門書である。不祥事を防止するためのテクニックの紹介にとどまらず、事業推進の中核をになう30代〜40代の職場リーダーの成長をうながし、そうした人材の活躍が結果的に組織を守ることにつながるという視点が類書とは異なり、本書の特徴としてあげることができるだろう。著者は大手自動車メーカーに入社後、労働組合で活躍してから、中間管理職を務めた。その後に独立し、キャリアコンサルタントとして多くの働く人たちとも向き合ってきた。こうした豊富な経験にもとづき、部下との向き合い方、職場のマネージャー層が抱える不安や悩みの解消法、不祥事を防ぐためのメカニズムやチェックポイントなどが、自ら見聞したエピソードとともに盛り込まれている。働く人のキャリア形成の重要性も実感でき、コンプライアンス部門の担当者ばかりでなく、人事労務担当者にとっても大いに参考になるだろう。30代~40代の職場リーダーの成長と活躍が会社を守るテレワーク導入を効果的に進め、メリットを最大化する

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