エルダー2020年6月号
9/68

特集定年退職後の多様なキャリアを考えるエルダー7﹁70歳までの就業機会確保﹂に向け検討すべき課題は何か―一般社団法人シニアセカンドキャリア推進協会︵以下、﹁SSC﹂︶では、どのような事業を行っていますか。髙平 SSCは商社系人材派遣会社などが中心となって、2007(平成19)年に任意団体として設立され、2019(令和元)年の生涯現役の日(10月1日)※1に一般社団法人となりました。設立当初から社会貢献活動として、生涯現役社会の実現に関するシンポジウムの開催や調査・研究・提言などを行ってきましたが、法人となった現在は、従来の事業に加え、シニアの就労支援事業、中高年・定年世代に向けた各種研修の受託・請負・主催、意識改革を目的としたワークショップやキャリア相談会の実施、高齢者を活用した人材サービスに関するコンサルティングなどの有償事業にも取り組んでいます。―政府が掲げる﹁70歳までの就業機会確保﹂に向けた方針では、自社での定年延長・再雇用などを含む、多様な選択肢が示されました。こうした政府方針へのご意見をお聞かせください。髙平 課題は多いものの、70歳まで就労できる道筋ができたことは前進です。―どのような点が課題ですか。髙平 定年廃止、定年延長、継続雇用制度という従来の雇用確保措置に加え、「他社への再就職の実現」、「フリーランス契約への資金提供」、「起業支援」、「社会貢献活動への資金提供」という新たな四つの選択肢が示されました。雇われない働き方を視野に入れているのが注目点で、評価したいところですが、これを具体的に運用するとなると、企業には、これまでとは異なる対応が求められることになります。 例えば、フリーランスとして活動する場合、65歳からいきなりフリーランスになるというのは現実的ではなく、そのためには現役時代から専門性を磨きつつ、個人事業主となる準備を緩ゆる※1  生涯現役の日……「日本は“大人になった個人が人生100年時代になっても最後まで自立していける生涯現役社会”の入り口に立っている」という意味合いの「記念日」として、“生涯現役の日”制定・普及推進委員会が制定したもの職業寿命は企業寿命より長い会社を離れても活きるキャリアを一般社団法人シニアセカンドキャリア推進協会 理事長  髙平ゆかり氏特別インタビュー 「70歳までの就業機会確保」に向けた法改正の議論が進み、高年齢者雇用安定法の改正法が通常国会で成立しました。これにより、高齢者雇用は新たなステージを迎えようとしています。そこで今回は、高齢者の就労・能力開発に精通し、一般社団法人シニアセカンドキャリア推進協会 理事長として、高齢者のセカンドキャリアの構築を支援するための各種取組みを行っている髙平ゆかりさんに、「70歳就業時代におけるセカンドキャリアのあり方」についてうかがいました。

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る