エルダー2020年7月号
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2020.714ズムの指標であるWFun※9は運動介入群で有意に改善しました(図表2)。この結果から、身体の不調を抱えながら働いていた労働者が、心身ともに良好な状態で働けるようになったことがうかがえます。また、疲労感や身体の不調が軽減し、活力が向上した人ほどプレゼンティーズムが改善することが示されました。昼休みに職場単位で運動することは職場のコミュニケーションを活性化させ、上司や同僚からの支援が得られやすくなり、それがストレス軽減や気分の向上に良好な効果をもたらし、ひいては仕事の満足度や労働生産性の向上につながるものと考えられます。2 睡眠の質の改善効果12頁で紹介したように、プレゼンティーズムに影響をおよぼす健康問題として、筋骨格系疾患、睡眠障害、メンタルヘルス疾患が上位を占めることが報告されています。そこで、職場単位で行うアクティブレストが労働者の睡眠の質、プレゼンティーズム改善におよぼす効果について検討しました。10週間の介入後、運動介入群でWFun、睡眠の質が有意に改善し、睡眠の質が改善した人ほどプレゼンティーズムが改善することが明らかになりました(図表3)。睡眠の質の低下による日中の眠気は、当然な※9 WFun……Work Functioning Impairment Scaleの略。産業医科大学で開発された健康問題による労働機能障害の程度を評価する尺度職場の対人関係上のストレス(点)5.0介入前8週後4.03.02.01.0悪良働きがい(点)5.0介入前8週後4.03.02.01.0良悪ワーク・エンゲイジメント;活力(点)15介入前8週後12963良悪身体愁訴(点)5.0介入前8週後4.03.02.01.0悪良同僚からの支援度(点)5.0介入前8週後4.03.02.01.0良悪WFun(点)3025介入前8週後20151050悪良睡眠の質(点)4.0介入前10週後3.02.01.00悪良出典:Michishita R, et al. J Occup Environ Med, 2017.出典:道下竜馬、ほか。第91回日本産業衛生学会(2018)にて発表図表2 アクティブレスト導入によるメンタルヘルス、職場の活性度、プレゼンティーズムの改善効果8週間の運動介入によりメンタルヘルス、職場の活性度の指標であるワーク・エンゲイジメント、プレゼンティーズムの指標であるWFunが改善右上から、職業性ストレス簡易調査の「身体愁訴」、「同僚からの支援度」、プレゼンティーズムの指標である「WFun」。左上から、職業性ストレス簡易調査の「職場の対人関係上のストレス」、「働きがい」、ワーク・エンゲイジメントの「活力」●; 運動介入群、□; 観察群. ; p<0,05、介入前後の比較. †; p<0.05、時間×群の交互作用図表3 アクティブレスト導入による睡眠の質の改善効果10週間の運動介入によりピッツバーグ睡眠質問票の「睡眠の質」が改善●; 運動介入群、□; 観察群. ; p<0,05、介入前後の比較. †; p<0.05、時間×群の交互作用

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