エルダー2020年7月号
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2020.716地域に根ざした老舗電機メーカー福岡市博多区にある「株式会社正興電機製作所」は、1921(大正10)年に創業した地域に根ざした老舗電機メーカーである。公共水道の制御装置のほか、環境エネルギーにおける蓄電池や、医療施設などで活用される機能性液晶フィルムなどの開発・製造を行っている。社員の平均年齢は46歳。定年年齢は60歳で、希望者全員を63歳まで再雇用しており、今後、65歳まで段階的に引き上げていく予定だ。同社は2013(平成25)年から健康経営※に取り組んでおり「会社も社員も健康で長生き!」をコンセプトに、社員の自発的な健康維持・増進活動に積極的な支援を行い、組織的な健康づくりを推進している。健康経営の先進企業として同社の健康経営の推進体制は、健康経営プロジェクト責任者(常務執行役員)が目標や施策を検討し、健康経営プロジェクトメンバー(管理部門、営業部門、設計部門、労働組合および保健師から選任されたメンバー)が健康増進施策を開発、健康経営事務局(人材開発グループ、ヘルスケアグループ)とともに、社員の健康保持・増進活動を展開している。健康経営に舵を切ったきっかけは、「プラチナ構想」に賛同したことからだという。「プラチナ構想」とは、三菱総合研究所理事長を務める小宮山宏氏らが提唱しているもので、国が直面している地球温暖化や高齢化などの課題を、再生・成長するためのチャンスととらえ、地域の持つ力(ネットワーク)で対応し、課題解決をしようという構想だ。同社は2013年より九州大学キャンパスライフ・健康支援センターとの共同研究をもとに独自の健康管理ツール「Health‐Ledger(ヘルスレジャー)」を開発。2017年から運用を開始した。その特徴は次の二つである。①数値データの管理   摂取カロリーや体重、歩数などのデータを蓄積し、毎年の健康診断の結果と合わせて、生活状況の見える化を実現。②モチベーション向上のための仕組みづくり   社内の保健師が個別に状況に応じたアドバイスを実施。これらは継続性と実効性を高めるものとして効果が立証されている。2016年には、全従業員に歩数や消費カロアクティブレスト(積極的休養)を活用し社員の健康意識と事業所の活気を高める株式会社正せい興こう電機製作所(福岡県福岡市)※  「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標。企業が社員の健康に配慮することで、企業価値の向上につなげるという経営手法テーマ 1スポーツで社員を健康に ②

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